研究概要 |
(1)MuSK自己抗体による筋無力症発症モデル動物を用いた分子病態解析 これまでウサギ発症モデルを使い、神経筋シナプスの病態を解析した。神経筋シナプスは前膜と後膜の両方で縮退が観察された。MuSK抗体による発症機序として以下のモデルを提唱した.抗MuSK抗体が神経筋シナプスに発現するMuSKと結合して,(a)MuSKの機能を直接阻害する、(b)MuSK蛋白の発現減少(antigenic modulation)の結果MuSKの機能を抑制する.おそらく(a)と(b)の両者が作用していると考えられる.我々はさらにマウスの発症モデルを作成することに成功した。 (2)抗MuSKモノクローナル抗体による筋無力症の分子病態解析 モノクローナル抗体を直接マウスに投与して発症するか検討するため、これまでマウスのモノクローナル抗体を25種類確立した。マウスに投与するために、それらの抗体を大量に精製している。またスクリーニングも継続している。 (3)MuSKの機能と筋無力症の発症分子メカニズムの解析 MuSK抗体による重症筋無力症の分子機構を明らかにするためC2C12培養筋細胞でagrinとMuSKの活性化によるAChR凝集と、laminin-1でAChR凝集を誘導する実験系を確立した。このAChR凝集刺激は生体内の凝集による近い機構である。患者や動物モデル由来の抗MuSK抗体を使ってその作用機序を解析した。
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