研究概要 |
C型慢性肝炎が持続すると肝の線維化が進行し,肝硬変状態に至り,やがて肝癌を発症する。肝炎の進行状態をPBMCの遺伝子発現変化から診断できればIFN療法の適応や治療の指針を決定する上で極めて重要な情報となる。また肝癌の診断も既存の腫瘍マーカー(α-フェトプロテインやPIVKA-II)では十分といえず,PBMCの遺伝子発現プロファイルにより肝癌の発生を診断できれば,臨床上極めて有用な検査となり得る。これまでにC型慢性肝炎13例と健常者6例のPBMCの遺伝子発現プロファイルを解析し,興味深いことにC型慢性肝炎症例と健常者では遺伝子発現パターンの明瞭な違いが認められた(Journal of Infectious disease,2006)。このような結果を踏まえて,平成19年度は多数症例を用いてC型慢性肝炎症例のPBMCを行った。C型慢性肝炎症例60例の解析では,肝組織進行度にしたがって,PBMCの遺伝子発現は異なっており,組織学的進行度に伴って変化する遺伝子も同定可能であった。今後,多数例の症例を用いて,同定された遺伝子発現により肝組織学的進行度を診断できるか否かについて検証する。またC型慢性肝炎例に対して行われたIFN療法の治療効果との関連性につき検討する。
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