研究課題/領域番号 |
19591280
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
富士岡 隆 山口大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤研究員 (50304473)
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研究分担者 |
坂田 義行 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10034927)
泉 友則 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00261694)
前川 剛志 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60034972)
富士岡 章 山口大学, 医学部附属病院, 医員 (50464334)
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キーワード | 脳神経 / 発生・分化 |
研究概要 |
胎仔脳の発達に影響を及ぼす母体環境を用いて、今年度は母体血液のプロテオーム解析を行った。妊娠ラットを狭いケージに拘束するストレスモデルを使用し、30分間あるいは240分間の拘束ストレスを負荷した後に母体血液を採取した。対照群を含めた3群の血清試料を試薬によりペプチド標識し、全自動大規模蛋白質解析システムにより蛋白質同定を行った。同定されたペプチド配列のマススペクトルに見られる同位体由来シグナルについてピーク値を比較し、相対的な定最を行った。各蛋白質をストレス群の変動パターンにより以下のようにグルーピングした。グループ(1)、変動のなかったもの(42%)。グループ(2)、30ストレス群と240ストレス群が同様な変動をしたもの(21%)。グループ(3)、30ストレス群と240ストレス群が逆の変動をしたもの(3%)。グループ(4)、30ストレス群のみ変動したもの(19%)。グループ(5)、240ストレス群のみ変動したもの(15%)。グループ(3)にはantioxidant、apolipoprotein関連の蛋白質などが含まれていた。30分と240分の拘束ストレスは胎仔脳の発達に異なる影響を及ぼしており、このグループの蛋白質はストレス時の発達脳の変化を反映するマーカー候補として重要である。グループ(4)にはTGF受容体関連の蛋白質が、グループ(5)には、matrix metalloproteinase、電位依存性potassium channelの関連蛋白質が含まれていた。また、hemoglobin、complement component、 coagulation factorの関連蛋白質などがストレス群で変動していた。本研究では、ストレス時に母体血中で変動する蛋白質を明らかにした。いくつかの蛋白質は、ストレスによる発達脳の変化のマーカーとなる可能性があった。妊娠母体のストレス反応は主に血液を介して胎仔に伝わると考えられている。今回の成果は、私たちが明らかにしたストレスによる発達脳の影響において、そのメカニズムを解明する上でも大変重要である。
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