研究課題
慢性肝障害、特にC型肝炎においては、肝内の鉄の沈着が、肝障害増悪、肝線維化の進行、肝癌発癌の各processに増悪因子として働く事が知られている。今回我々は、非侵襲的に生体肝内の鉄を評価する目的でPhilips Medical Systemsと協力し、MR計算画像であるT2^*mapおよびT2 map作成ソフトの開発に成功した。これら2つのmapにより、肝の各部位のT2^*及びT2値をdirectに計測する事が可能となった。これまで70余名の種々の肝機能を有する患者(正常、Child-Pugh A〜C群)に対し、T2^*map、T2 mapを作成し、その肝実質の評価を行なった。肝機能が低下するにつれT2^*値は低下し、従来の報告通り、肝実質に鉄沈着がおこることを始めて画像的に示した。一方、SPIO投与後のT2^*値、T2値の変化率も肝機能相関した。即ち、肝機能障害が進行するにつれΔT2^*、ΔT2ともに低下した。これは、前者が肝機能障害に伴うKupffer細胞のclustering機能の低下を表し、後者はKupffer細胞により取りこまれるSPIO量自体の減少を反映するもの、と考えられた。今後、手術例に限定し、得られた組織内のhemosiderinと画像との比較・相関を行なって行く方針である。
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