本研究では、広く普及しているライナック放射線治療装置を用いた胸部の放射線治療の場合には、最適な線量分布を得るためにはどのようなエネルギー、照射野形状、リーフマージンが必要かという臨床に直結した問題を、多数の臨床データのモンテカルロ・シミュレーションと照射実験にて詳細に評価することを目的とした。我々のグループは肺の不均一密度分布による腫瘍均一性の問題に集中して研究を続けてきた。しかし、これまでの検討はあくまでもファントムを想定したものであり、本研究では多数の臨床例からCTデータを収集し、実際の条件でモンテカルロ・シミュレーションをおこなう。 特に、適切なリーフマージンと照射野形状、あるいはIMRTなどの技法についてシミュレーションシステムを用いることにより解明した。 前年度でシミュレーションシステムは構築してあるが、より有効に使用するため慶應側にもサーバコンピュータを強化し、接続窓口とした。さらに、臨床データを多数蓄積し、分類し、構築したシステムによりすみやかに処理できるものとした。慶応大既存の治療用加速器に対応する、3次元的な線量分布を求め、測定の結果と比較検討する。タフウォータ材で腫瘍部分ファントムを作製した。これは主に各エネルギーと照射野サイズでの絶対線量の測定に用いた。線量分布はフィルムにより求め、照射後フィルムをスキャナで計測し、絶対線量測定結果と対比し、線量分布を得た。解析ソフトウェアを使用し、解析する。撮影した画像を解析するために、ワークステーションに転送した。ファントムのCT撮影は、慶應大学に装備されているCTを用いた。
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