【はじめに】血管柄付き骨移植術後の横径を増大させる因子とし荷重による力学的ストレス、骨折などが報告されている。手術的な方法としては骨移植法があげられるが採取できる量には限りがあるほか骨質に問題があり骨形成能が乏しく期待されるような結果とならないこともある。一方近年より高度な骨形成能を持った培養人工骨の移植が可能となった。我々はこれらの組み合わせることにより移植骨の横径増大が可能と考え今回はその移植部位について検討するために本研究を行った。 【方法】F-344ラットの大腿骨より骨髄液を採取し増殖させたのちオスフェリオン(顆粒)上に播種し2週間骨誘導培地にて培養した。骨膜下移植群ではF-344リタイアラットの脛骨粗面の骨膜を剥離し骨膜下と皮質骨の表面に作成した人工骨を移植した。骨膜外移植群は皮下と骨膜下の間に培養人工骨を移植した。移植後4カ月、8か月、12か月、18ヵ月目にALP活性、病理所見、CTにて評価した。CTにて骨のCT値に合わせ皮質骨厚、海綿骨幅、移植側皮質骨厚、剥離部皮質骨厚などを計測した。 【結果】両群間で各時期におけるALP活性には明らかな有意差は認めなかった。CTでの皮質骨厚、海綿骨幅については明らかな有意差は認めなかったが移植側皮質骨厚(骨膜を含む)は骨と癒合していると考えられた増大傾向を認めた。12か月目ではCT値は皮質骨レベルまで上昇し皮質骨厚は増大した。18ヵ月目には骨膜剥離部皮質骨厚は経過とともに菲薄化する傾向であった。 【考察・まとめ】骨膜下へ移植した培養人工骨は骨膜外のものに比べてCT値が皮質骨と同等となり骨膜が皮質骨への分化を促進しているものと考えられた。骨膜を剥離された皮質骨の菲薄化は骨の力学的強度の問題が出てくる可能性があると推測される。以上の結果より移植骨の横径増大を図る方法として培養人工骨を移植することは一つの方法でありその移植部位としては骨膜下へ移植することで横径増大が期待できると考えられる。
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