研究概要 |
500床以上の麻酔科認定施設の手術室における異型適合赤血球輸血の実施状況をアンケートによって調査した.5,000ml以上の大量出血症例が2006年からの3年間で3,246症例登録されたが,その19%が30日以内に死亡の転帰をたどっていた.一方,異型適合赤血球輸血は大量出血症例の僅か1.4%で実施されているに過ぎなかった.この割合は,「危機的出血への対応ガイドライン」の公表前後で変化していなかった.また,出血量にかかわらず異型適合赤血球輸血が実施された症例が83症例報告されたが,溶血性副作用の発生は報告されなかった.溶血性副作用に関する不安が異型適合赤血球輸血の普及を阻害している一要因と考えられることから,今後は異型適合血輸血の安全性に関する啓発が課題と考えられる.
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