本研究の目的は、帝王切開分娩を経験した女性のための出産選択における決定援助プログラムの開発とその効果の検証を行うことである。本年度は、決定援助に関する文献検討及び概念の明確化を行い、本プログラムにおける決定援助のためのツールとしての小冊子の開発を行った。その開発過程においては、国内外の文献検討を通して、VBACと選択的帝王切開分娩に関する臨床的データの検証を行うとともに、帝王切開分娩を経験した女性からのインタビューの内容や、産科医師、助産師からの意見も参考とし、小冊子(出産の選択:日本版)を作成した(A5判28頁)。 またツールの開発と並行して、オタワ決定サポート枠組みに基づき、決定援助プログラムの開発を行った。 決定援助プログラムとは、出産方法選択の決定に影響を及ぼす要因をアセスメントする「(1)ニーズアセスメント」、これに基づいた「(2)決定援助の実施」、研究者との対話を通しながら、その後の意思決定ステップを支援するための「(3)意思決定支援のフォローアップ」を包含している。(2)の「決定援助の実施」のツールとして、研究者が作成した小冊子ならびにワークシートを使用する。 次年度は、本研究の海外共同研究者を招聘し、シンポジウムの開催を通して、帝王切開分娩を経験した女性の次子の出産選択に対する現状とニーズについて認識を深めるとともに、開発した決定援助プログラムを対象者へ実施し、そのプログラムの効果の検証を行う予定である。
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