研究課題
基盤研究(C)
認知症をもつ高齢者の残存能力測定尺度の開発を行ってきた。尺度の妥当性と信頼性について検証を行うため、県内・県外の高齢者施設の居住者およびデイケア通所者を対象にのべ100 人を測定した結果、尺度の信ぴょう性が確認できた。その調査結果を洋専門誌にて発表した。また認知能力が低下していると見られる精神疾患のある対象についても検証を行った。診断別に統合失調症、うつ病・躁鬱病、薬物依存症、これら3つの診断を受けた75 人を対象について比較した。その結果、統合失調症をもつ対象の得点が最も低く、うつ病・躁鬱病、薬物依存症の順位で向上した。さらに、地域病院の一般病棟の入院患者149 人を対象に測定した。平均年齢は76 歳で、平均年齢76 歳以上と76 歳以下の2 群を比較したところ、2 者間に有意な差が見られた。換言すれば、76 歳以上の対象に認知能力の低下が見られた。この結果から、一般病棟の入院患者76 歳以上の患者に関わる際、特別な配慮やケア上の工夫の必要性があることが示唆された。認知症高齢者は自分の認知能力の欠陥を補うため、情緒面が発達しているといわれる。そこで、認知症をもつ80 代後半の女性にナラティブアプローチ法を用いてインタビューを試みた。その結果、本人にとって印象深いと思われた過去の体験について繊細な部分に至るまで回想しそれらについて自分の思いや考えについて表現でき、新たな発見や意味づけができた。このように量的方法のみでは解明できなかったことを質的方法を用いることで、対象が他者との関わりについて振り返り、その結果自己・他者理解ができたことは、この分野の研究に新しい知見として貢献できたと考える。
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