本研究は、統合失調症患者の自我強化のための看護面接方法の信頼性と妥当性を検証したものである。面接指標(「不確かな自己」「発達課題」「ライフイベント」「身体感覚の違和感と自己の関係に関する洞察」)にそった面接を実施した5名の回復過程と面接結果を照合した結果、それぞれ回復したと評価できた。面接指標は、(1)ES得点が低い場合の面接は「ライフイベント」と「発達課題」がポイントとなること、(2)退院後3か月目は再燃の危機であるが刺激のレベルと生活の縮小を支えることで乗り越えられる可能性があること、(3)寛解期後期の乗り越えには将来への不安について具体的にともに解決策を考えてその実施を指示することが重要であることが示唆された。面接指標にそった面接による再燃予防については、再燃したケースとの面接が実施できず検証はできなかった。しかし、再燃した患者を対象とした過去の回復過程で受けていた援助内容を分析した結果、再燃した患者は面接指標のいずれかについて課題を抱えているにもかかわらず、これらについて相談する相手もいないまま再発していたことがわかった。さらに、新たな指標として「対象者特有のライフイベントの存在を見いだすこと」が見いだされた。以上、上記の4つの指標に加え、今回見いだされた「対象者特有のライフイベントの存在を見いだすこと」を含めた5つの指標にそった統合失調症患者への看護面接は、患者の自我を強化し、回復過程を促進するために有効であることが検証できた。 今回はCNS教育を修了した看護師が面接を行っているが、多くの外来で実践するためには、これらの指標に沿った看護面接の実践能力を育成する取り組みが課題である。
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