研究概要 |
北欧5ケ国のうちデンマーク,スウェーデン,ノルウェー,フィンランドの4ケ国については,大学運営,大学評価に関して,法律および大学監督官庁,個別大学,学生団体等の機関についての書面調査を行った。また,デンマーク,スウェーデンについては大学監督官庁,個別大学,学生団体等の機関へめ訪問調査も実施した。 その結果,デンマークについては,「1968年の学生運動の後、,大学運営民主化の流れの中で学生の大学運営への参画が始まっている。学生の理事会等各種会議体への参画については,大学法で定められており,それを受ける形で大学の学則等で規定されている2003年の大学法改正により,理事会構成メンバーの過半数を外部委員とすることが定められた。これにより理事会における学生委員を含む学内関係者の力は相対的に弱まった。」ということが明らかになった。 フィンランドに関しては,「高等教育に関する意思決定は,これまで,(1)教授,(2)その他の教育・研究職員及び事務職員,(3)学生という三つのグループの代表がほぼ均等な割合で含まれている組織において行われてきたが,新たな大学法において,大学の最高意思決定機関である評議会の委員に外部関係者を任命する道が拓かれた。しかし,フィンランドの大学では,学生に運営への参画を認めてきており,学生が,全員所属している「学生組合」という組織を背景として大学運営に参画し,学生の視点から意見を述べる機会と手段を持っているという事実は,不変であり,これらが,大学レベルのみならず,学部レベル,国レベルと,より上位,より下位の意思決定の場でも貫かれていること。」がわかった。 スウェーデンに関しても,上記2ケ国と同様に学生が大学運営に参加している実態が把握できた。 また,北欧5ケ国の大学運営,大学評価に関する概況については,5月の日本アイスランド学会公開講演会において「北欧の大学評価紹介」として報告も行った。
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