中枢性コリン作動性神経を標的とした神経因性疼痛伝達機構の解明と治療薬の開発

2009 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 19603022
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 疼痛学
• 研究機関: 福岡大学
• 研究代表者: 本多 健治 福岡大学, 薬学部, 助教 (60140761)
• 研究分担者: 斎藤 亮 福岡大学, 薬学部, 講師 (80122696) ; 高野 行夫 福岡大学, 薬学部, 教授 (50113246) ; 右田 啓介 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10352262)
• 研究期間 (年度): 2007 – 2009
• キーワード: 神経障害性疼痛 / 中枢性ムスカリン受容体 / GABA作動性神経 / ミクログリア細胞 / ケモカイン

研究概要

本研究では、末梢神経障害に伴う神経因性疼痛に対する中枢性コリン作動性神経のムスカリン受容体とグリア細胞の機能的役割について脊髄と脳で研究しました。その結果、(1)脊髄内ムスカリンM_1受容体の興奮は鎮痛作用を示すことを明らかにしました。この鎮痛作用にはGABA_A受容体の活性化が一部関与していました。また、脳内前帯状回ムスカリンM_1受容体の興奮はGABA作動性神経を介し疼痛伝達を抑制することで、痛みの緩和に深く関与していることを明らかにしました。(2)脊髄グリア細胞は、神経因性疼痛の主症状であるアロディニア発現に深く関与することを証明しました。また、抗生物質のミノサイクリンは神経損傷によるミクログリア細胞の増加とChemotactic Cytokine Ligand(CCL)-1の産生を抑制して、抗アロディニア効果を発現することを証明しました。この成果は、疼痛における臨床応用の可能性を示唆しています。

研究成果

• [雑誌論文] 神経障害性疼痛におけるミノサイクリンの抗アロディニア作用秋元望 (2010)
  • 著者名/発表者名: 本多健治, 松本恵理子, 川田哲史, 右田啓介, 牛島悠一, 高野行夫
  • 雑誌名: 日本ペインクリニック学会誌 (印刷中)
  • 査読あり
• [雑誌論文] Aldosterone-sensitive NTS neurons regulate sensitivity of the baroreceptor reflex in high-sodium loaded rats (2010)
  • 著者名/発表者名: Masuda T, Hirabara Y, Nakamura Y, Chishaki A, Tsuruhisa M, Miyakawa M, Honda K, Saito R, Sakamoto H, Kawata M, TakanoY
  • 雑誌名: J. Pharmacol. Sci. Vol.112 ページ: 482-486
  • 査読あり
• [雑誌論文] Modulation of P2X receptors in dorsal root ganglion neurons of streptozo-tocin-induced diabetic neuropathy. (2009)
  • 著者名/発表者名: Migita K, Moriyama T, Koguchi M, Honda K, Katsuragi T, Takano Y, Ueno S
  • 雑誌名: Neurosci. Letters Vol.452 ページ: 200-203
  • 査読あり
• [雑誌論文] Involvement of vasopressin Vla and Vlb receptors in nociceptive responses and morphine-induced effects. (2009)
  • 著者名/発表者名: Honda K., Takano Y.
  • 雑誌名: J. Pharmacol. Sci. Vol.109 ページ: 38-43
  • 査読あり
• [雑誌論文] 脊髄内痛覚伝達系のムスカリン受容体 (2009)
  • 著者名/発表者名: 本多健治, 高野行夫
  • 雑誌名: 生体の科学 Vol.60,No.5 ページ: 404-405
• [雑誌論文] The Spinal muscarinic M1 receptors and GABAA receptors contribute to the McN-A-343-induced antinociceptive effects during thermal stimulation of mice (2008)
  • 著者名/発表者名: Honda K, Horikawa K., Ando S., Koga, Kawata S, Migita K., Takano Y.
  • 雑誌名: J. Pharmacol. Sci. Vol.108 ページ: 472-478
  • 査読あり
• [雑誌論文] Contribution of Ca2+-dependent protein kinase C in the spinal cord to the development of mechanical allodynia in diabetic mice (2007)
  • 著者名/発表者名: Honda K, Koguchi M, Koga K, Nakajima K, Kobayashi F, Migita K, Ogata S, Hirabara Y, Takano Y
  • 雑誌名: Biol. Pharm. Bull. Vol.301 ページ: 990-993
  • 査読あり
• [雑誌論文] 疼痛試験法の実際 (2007)
  • 著者名/発表者名: 本多健治、高野行夫
  • 雑誌名: 日本薬理学雑誌 130巻 ページ: 39-44
• [雑誌論文] 脊髄痛覚伝達系へのムスカリン性受容体の関与 (2007)
  • 著者名/発表者名: 神谷大雄、本多健治
  • 雑誌名: 国際医療福祉大学福岡リハビリテーション学部紀要 Vol.3 ページ: 13-20
• [学会発表] 帯状回ムスカリンM1受容体は神経因性疼痛による機械性アロディニアを抑制する (2010)
  • 著者名/発表者名: 松崎雄、本多健治, 中島茂人、秋元望, 牛島悠一、斎藤亮, 高野行夫
  • 学会等名: 第83回日本薬理学会
  • 発表場所: 国際会議場(大阪)
  • 年月日: 2010-03-18
• [学会発表] 2型糖尿病-高食塩負荷モデルラットにおいて内皮細胞由来の弛緩反応は減弱する (2010)
  • 著者名/発表者名: 宮川雅行, 増田大治, 樗木晃子, 鶴久麻衣, 平原康寿, 本多健治, 斎藤亮, 高野行夫
  • 学会等名: 第83回日本薬理学会
  • 発表場所: 国際会議場(大阪)
  • 年月日: 2010-03-16
• [学会発表] CCL1の神経因性疹痛への関与 (2010)
  • 著者名/発表者名: 秋元望, 本多健治, 牛島悠一、松崎雄、中島茂人、斎藤亮, 高野行夫
  • 学会等名: 第83回日本薬理学会
  • 発表場所: 国際会議場(大阪)
  • 年月日: 2010-03-16
• [学会発表] 食塩負荷は動脈圧受容器反射の感受性を減弱させる (2009)
  • 著者名/発表者名: 増田大治, 宮川雅行, 樗木晃子, 鶴久麻衣, 平原康寿, 本多健治, 斎藤亮, 高野行夫
  • 学会等名: 第62回日本薬理学西南部会
  • 発表場所: 松山
  • 年月日: 2009-11-27
• [学会発表] The effect of minocycline on neuropathic pain model in mice (2009)
  • 著者名/発表者名: Akimoto N., Honda K., Matsumoto E., Ushijima Y., Matsuzaki Y., Nakajima S., Saito R., Takano Y.
  • 学会等名: International Student Symposium, Kyusyu Brain Days
  • 発表場所: 九州大学(福岡)
  • 年月日: 2009-11-07
• [学会発表] he association with P2X2 and P2X3 receptors in dorsal root ganglion on streptozotocin-induced diabetic neuropathy (2009)
  • 著者名/発表者名: Migita K., Honda K., Yamada J., Takano Y., Ueno S.
  • 学会等名: Neuroscience 2009
  • 発表場所: Chicago, USA
  • 年月日: 2009-10-18
• [学会発表] 神経因性疼痛モデルにおけるミノサイクリンの抗アロディニア作用 (2009)
  • 著者名/発表者名: 本多健治, 秋元望, 松本恵理子, 松崎雄, 斎藤亮, 高野行夫
  • 学会等名: 日本ペインクリニック学会43回大会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場(名古屋)
  • 年月日: 2009-07-17
• [学会発表] Mechanism of neuropathic pain in the spinal cord (2009)
  • 著者名/発表者名: Takano Y.
  • 学会等名: Invited Lecture in Medical School Pamukkale University
  • 発表場所: Denizil, Turkey
  • 年月日: 2009-05-20
• [学会発表] 神経因性疼痛モデルマウスの大脳皮質II/III層錐体細胞におけるシナプス応答 (2009)
  • 著者名/発表者名: 右田啓介, 本多健治, 高野行夫, 山田順子, 上野伸哉
  • 学会等名: 第82回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2009-03-17
• [学会発表] ミノサイクリンによる神経因性疼痛抑制効果 (2009)
  • 著者名/発表者名: 松本恵理子, 秋元望, 松崎雄, 本多健治, 右田啓介, 斎藤亮, 上野伸哉, 高野行夫
  • 学会等名: 第82回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2009-03-17
• [学会発表] 糖尿病・食塩負荷モデルラットにおいて動脈圧受容器反射は減弱する;弧束核におけるアルドステロン感受性神経 (2009)
  • 著者名/発表者名: 増田大治, 中村祐介, 宮川雅行, 平原康寿, 本多健治, 斎藤亮, 有森和彦, 中川裕之, 坂本浩隆, 河田光博, 高野行夫
  • 学会等名: 第82回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2009-03-16
• [学会発表] 糖尿病・食塩負荷高血圧ラットにおいて動脈圧受容器反射は減弱する (2008)
  • 著者名/発表者名: 平原康寿, 中村祐介, 増田大治, 宮川雅行, 岩切智美, 奥村学, 本多健治, 斎藤亮, 有森和彦, 高野行夫
  • 学会等名: 薬学会九州支部大会
  • 発表場所: 宮崎
  • 年月日: 2008-12-06
• [学会発表] 食塩負荷糖尿病モデルラットにおける動脈圧受容器反射の減弱に対するレニン-アンギオテンシン系の関与 (2008)
  • 著者名/発表者名: 中村祐介, 平原康寿, 増田大治, 宮川雅行, 本多健治, 斎藤亮, 有森和彦, 高野行夫
  • 学会等名: 第61回日本薬理学会西南部会
  • 発表場所: 米子
  • 年月日: 2008-11-28
• [学会発表] The spinal microglia contributes to the development of neuropathic pain in mice (2008)
  • 著者名/発表者名: MATSUMOT E, HONDA K., AKIMOTO N., MATSUZAKI Y., KAWATA S., MIGITA K., UENO S., SAITO R., TAKANO Y.
  • 学会等名: Neuroscience 2008
  • 発表場所: Washington D.C., USA
  • 年月日: 2008-11-18
• [学会発表] 神経因性疼痛における脳内ムスカリン受容体とGABA作動性神経の役割 (2008)
  • 著者名/発表者名: 本多健治, 西村亜紀子, 松本恵理子, 松崎雄, 秋本望, 斎藤亮, 高野行夫
  • 学会等名: 第30回日本疼痛学会
  • 発表場所: 福岡
  • 年月日: 2008-07-20
• [学会発表] Involvement of spinal glial cells in neuropathic pain (2008)
  • 著者名/発表者名: Matsumoto E., Kawata S., Akimoto N., Honda K., Migita K., Y. Matsuzaki, S. Ueno, Saito R., Takano Y.
  • 学会等名: 3rd Asian Pain Symposium
  • 発表場所: Fukuoka
  • 年月日: 2008-07-19
• [学会発表] 神経因性疼痛に対する脊髄グリア細胞の関与 (2008)
  • 著者名/発表者名: 川田哲史, 松本恵理子, 本多健治, 右田啓介, 斎藤亮, 上野伸哉, 高野行夫
  • 学会等名: 日本薬学会第128年
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2008-03-27
• [学会発表] 依存におけるバソプレシン受容体の関与 (2008)
  • 著者名/発表者名: 本多健治, 高野行夫, モルヒネ鎮痛、耐性
  • 学会等名: 第81回日本薬理学会年会シンポジウム
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2008-03-18
• [学会発表] 神経因性疼痛に対するMcN-A-343の鎮痛効果における脊髄上位GABAA受容体の関与 (2008)
  • 著者名/発表者名: 本多健治, 西村亜紀子, 松本恵理子, 川田哲史, 斎藤亮, 高野行夫
  • 学会等名: 第81回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2008-03-17
• [学会発表] 高食塩負荷糖尿病モデルラットにおいて動脈圧受容器反射機能は減弱する (2008)
  • 著者名/発表者名: 片渕史織, 平原康寿, 福田未音, 中村祐介, 本多健治, 斎藤亮, 高野行夫
  • 学会等名: 第81回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2008-03-16