研究課題
本研究の主要目的は日仏二言語雑誌を発行し、研究成果をその雑誌に発表することによって具体化することに存していた。研究代表者(宮崎隆)とグルノーブル第三大学教授クロード・コスト氏との共同主幹の下、本年度は、日仏二言語論文集『道行』(Chemin Faisant Revue bilingue franco-japonaise)第3号において「生(いのち)-La vie essentielle」をテーマに選び、人文学の分野において、日本とフランスという異なる文化から見て、生(いのち)に関するいかなる取組み方がありうるのかが多角的に検討、整理された。そのようにして第3号において日仏両言語で掲げられたのが、以下の六つの論考である。山梨大学教授の香川智晶氏は、脳死臓器移植を巡る日本における議論を整理し、現代医療における脳死中心の生命観を哲学的に検討した。パリ第十大学のリーダ・ブーラビ氏は、アブデルワハブ・メデブの作品における神秘主義と官能性を手掛かりに、文学上に現れる生命概念を整理した。レンヌ大学助教授のマリ=エレンヌ・ヴィクトリ氏は、パスカル・キニャールの文学に現れる生(いのち)の概念に焦点を絞り、生(いのち)の隠れたる様態を闡明すべく努めた。グルノーブル第三大学のソフィー・エベール氏は、美学の方面から、生命の本源の究明を目指した。大阪教育大学教授の岩田文昭氏は、三木清の哲学と宗教との関係を起点に、三木哲学において生命の規定を試みた。武蔵野大学准教授の爪田一壽氏は、親鸞と道元の思想を分析しつつ、「仏の<いのち>を生きる」ということの意味の解明し、仏教において生(いのち)を位置づけた。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (13件)
Chemin Faisant : revue bilingue franco-japonaise No. 3
ページ: 5-18
道行 (日仏二言語論文集) 第3集
ページ: 5-17
ページ: 19-31
ページ: 18-32
ページ: 32-47
ページ: 33-49
ページ: 48-60
ページ: 50-63
ページ: 61-80
ページ: 64-83
ページ: 81-95
ページ: 84-96
横浜国立大学 教育人間科学部紀要II No, 12
ページ: 1-15