研究概要 |
昨年度の結果にもとづき、野間岳と亀ヶ岡の火山噴出時期には1M.Y.の時代の差があることがわかったので、今年度は亀ヶ岡だけに研究の焦点をあて、亀ヶ岡の頂上から海面までに分布する溶岩層を連続に採取し、古地磁気と年代の測定を行うことを研究戦術とした。 (A)調査・岩石採集:逆帯磁が観察できる山頂部の溶岩層NM13から道沿いに溶岩層を採取して、海岸の溶岩層NM36まで、全12層準で古地磁気学と年代学のための岩石試料を採取した。 (B)古地磁気学:溶岩層の12層準について熱消磁を行ない、岩石の残留磁化を測定した。測定には、神戸大学の超伝導磁力計とスピナー磁力計とを用いた。山頂部NM13と海岸部のNM36は、偏角=160度、伏角=-40度の逆帯磁を示した。中間部のNM32-3層からは、偏角=21度、伏角=77度と正帯磁であるものの異常な方向を見出した。NM32層からNM35-1層の7層準で、異常な磁化方向の連続的な変動を見ることができた。 (C)年代測定:NM31,NM32,NM33,NM35,NM36の5層準から採取した岩石試料について年代学的研究を行った。これらの岩石試料から鉱物分離をおこない,plagioclaceを分離した。これらの鉱物について,岡山理科大学・自然科学研究所において、Arはガス質量分析計をもちいてKは炎光分析によって測定をおこない、年代を求めた。それぞれ、6.3±1.2Ma、、6.6±0.94Ma、6.9±0.7Ma、6.8±0.7Ma、6.0±08Maであることがわかった。カリ成分がすくないので、やや大きな誤差があらわれた。しかし、亀ヶ岡の火山噴出は6.5Maころの一連の活動で生成されたことがわかった。 (D)議論:今回の年代学と古地磁気学の結果をふまえ、亀ヶ岡の火山噴出には地磁気エクスカーションが記録されていると、結論とした。
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