本年度、昨年のあとをうけてナノ-ミクロスケールの鉱物集合、それらの自己組織化集合、とくに規則型自己組織化組織を検討した。フラクタル関連については昨年度の成果を踏襲している.これらは、バイオ由来のものが多くを占めるが、無機的なものでも興味深いものがあることがわかった。電顕鉱物学の立場から、特に詳細の検討している。主な成果と論文化できた成果の2つの面から以下記す。データ的に新たにわかったところは、フランボイダル黄鉄鉱の初期生成段階をほぼおさえることができたことである。これは完全にバイオの面、バイオミネラリゼーションにより、今年の学会発表をめざす。このフランボイダルパイライトがどう生成されるか、微生物的に初期段階でこれが規制されるという、モデル化ができ良い結果として評価できる。同じフランボイドでも無機的に興味深い自己組織化構造としては、隕石中の磁鉄鉱があり、これの規則配列構造、の各種を記載でき、さらにフランボイド以外にも、板状の磁鉄鉱と球晶状磁鉄鉱の共存を確認でき、それらの生成の順序を解明できた点は興味深い結果だった。また、バイオともアバイオとも議論があって決着がついていない、コロフォーム組織の集合解明を共同の研究としてすすめ、いくつかの点があきらかにはなった。この結果は論文化できた。これらの数学的解析は今後の興味深い課題として、位置づけられる。すこし前の成果で論文化できたものが、今年は比較的多くでた。また炭素質コンドライト隕石にグラファイトの低結晶度の破片断片のようなネットワーク状構造が、ある組織的意味をもつことが示唆され、これは論文化したなかに、写真として示してある。フランボイドの規則・不規則配列と多面体構造については、自己組織化構造に特異な興味深い形態である。で、この形態的特徴は鉱物学にとどまらないで、金属結晶、ウィルスにあるなど、自然界の造形として、形の科学の意味も大きい。
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