本年度は、これまでに開発した移動量計測システム(A1間欠信号を2方向交点計測法による家畜の移動量計測)を改良し、メイン回路にGPSエンジンを搭載し、さらにマイコン制御とすることで動作を安定化させ、家畜が「今どこで何をしている」のかをリアルタイムで確認することができるシステムの開発を行った。その結果、上記システムは完成しPC上でリアルタイムに対象動物がどこで何をしているかが確認できるようになった。これにより、以後の体温情報の付加について、開発がスムーズとなった。現在、PICをメイン回路としてGPS、顎運動計測センサをモジュールとする構成となっていることから、今後の体温計測センサはモジュールの追加で対応が可能であると考えられる。これによって放牧環境における家畜の行動と草地について詳細に検討が行えるようになった。また開発した機器を用いて放牧地内のウシの行動を計測し、得られたデータから放牧地内の草地利用性について検討を行った。本研究の成果は、学術面においては、放牧環境における家畜の栄養について詳細に検討できると同時に草地利用性についても詳細に検討を行う上で有用な手法である。これによって、家畜の省力的管理法に関する検討がスムーズに行えるようになった。特に、これまでの手法と比較し労力の大幅な削減が可能となると同時により正確なデータが得られるようになったことで、今後の放牧などの環境下における研究手法の一つとなる可能性が極めて高い。さらにデータをリアルタイムで計測することが可能となったことで、研究分野のみならず農家レベルでの使用も可能となった。これにより遠隔地から家畜の状態を把握し、家畜の生産を制御することができる。
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