本研究ではOILMAPを使った流出油挙動計算結果から油分濃度を指標に海洋生物への影響濃度を超えた海域での漁場消失による漁獲損失量について、漁業情報データベースを用いて予測する漁業被害予測モデルを、GISを用いて開発した。さらに、このモデルを用いて2008年3月に起きた明石海峡流出油事故での海苔養殖の漁場消失範囲と生産損失量およびいかなご漁を行う船びき網漁業の漁場消失に伴う漁獲損失を予測し、実際の被害と比較した。その結果、予測被害値は実際の被害値と近い値を示し、漁業被害予測について本モデルの有用性が確認できた。また、流出油による漁場環境・生態系への影響を把握するために、流動・低次生態系モデルの植物・動物プランクトンへ油影響モデルを組み込み、流出油による植物・動物プランクトンの挙動シミュレーションを行った。その結果、流出油による低次生態系への影響は短期的であることを把握した。
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