研究課題
本研究の課題は、海外進出した日系企業の雇用実態をジェンダーの視点から分析することである。伝統的な男性職場である自動車産業を対象に、海外工場と日本工場との間で、女性の雇用管理の実態がどのように異なるのか、またその違いを生み出す要因はどこにあるのかについて、労務管理の方法および各国の法制度、男女平等政策の視角から、検証する。平成19年度は、大手自動車メーカーのイギリス工場と日本工場との比較研究をすすめた。日本工場との労務管理上の違いとしては、日本工場において、男女の筋力・体力差に配慮した労務管理が実施されているのに対して、イギリス工場では、ほぼまったくそのような配慮がみられないことがわかった。こうした違いが生まれる要因を検討した。平成20年度は、主にEUおよびイギリスにおける労働に関する男女平等政策について、文献、資料を収集し、各国の政策の特徴を整理した。さらにこれらの政策が、労働現場にどのような影響を与えているのかについて、イギリス、アメリカの先行研究を収集した(しかしこうした研究はまだ少なく、予想したほどには集まらなかった)。また、基軸となる男女平等政策(法改正等を含む)の前後において、女性労働の実態でどのような変化があったのかを確認するために、主にイギリスとアメリカの女性労働に関する主要統計データを収集し、分析をおこなった。今年度は、時間が足りずデータの入力作業とクロス集計までしかできなかったため、来年度に引き続き分析をつづける。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件)
Japan Labor Review Volume 6, Number 1
ページ: 21-35