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2008 年度 実績報告書

『ナーマサンギーティ』の諸註釈書に見られるインド仏教思想の解釈の展開について

研究課題

研究課題/領域番号 19720015
研究機関種智院大学

研究代表者

SHAKYA SUDAN  種智院大学, 人文学部, 講師 (60447117)

キーワード仏教学 / インド思想 / インド密教 / 『ナーマサンギーティ』 / 文殊 / 本初仏 / タントラ文献 / インド哲学
研究概要

平成20年度は、平成19年度に引き続き『ナーマサンギーティ』(以下NS)に関する諸註釈の精読を行なってきた。NSは文殊たる文殊智慧薩〓の特質を称讃する文献でもある点から、今年度は、仏教文献全体で文殊の解釈がどのように展開されてきたかを明確にすることを試みた。特に、仏教タントラ文献に見られる文殊の位置づけを明確にするために、これまでの註釈文献に加えて、『大日経』をはじめとする諸タントラとそれぞれの註釈文献などにおける文殊に関する記述の解読を進めた。これまでの文献解読から得られた成果の一部をここで報告する。
大乗文献における文殊については既に研究がなされている。文殊は智慧を司る純粋な大乗的な菩薩である。初期の大乗仏典において、文殊は教主の眷属の一人として登場するが、後にその地位が次第に向上し、「一切仏・菩薩の母父」としての解釈にまで至る。その一方、タントラ文献、中でも『大日経』には、文殊は眷属の一人として登場し、煩悩を破壊する智慧を象徴する者としている。さらに、『理趣広経』や『超勝三界経』においては、文殊はマンダラの中尊となり、NSでは、文殊を頂点に置き、「本初仏」(無始無終で、すべての仏菩薩の根源となる者)として進化させている。つまり、文殊は智慧を象徴する菩薩であるだけではなく、悟りへと導く者になり、やがて「本初仏」として変遷していくことが明らかになった。
「本初仏」という言葉は『カーラチャクラタントラ』という最も成立が新しいタントラの重要な述語でもある。故に、本成果は同タントラ成立を探る上で重要な資料となり、インド仏教思想の流れを知ることにもつながると考える。今後、「本初仏」の更なる考察が要されるが、そこで文殊を「本初仏」として解釈し、またその意味を含む多くのキーワードが用いられている文献は他でもなくNSであるため、それに関する註釈類に見られる解釈を検証することが課題となる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 仏教文献に見られる文殊師利の解釈の展開について2009

    • 著者名/発表者名
      スダン・シャキャ(SHAKYA SUDAN)
    • 雑誌名

      密教学 第45号

      ページ: 85-111

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「仏教文献に見られる文殊の解釈の展開について」(The interpretation of Manjusri in the Buddhist Literatures)2008

    • 著者名/発表者名
      スダン・シャキャ(SHAKYA SUDAN)
    • 雑誌名

      The Proceedings of the 2008 Korean Conference of Buddhist Studies (韓国) (Special Volume)

      ページ: 605-613

    • 査読あり
  • [学会発表] 「仏教文献に見られる文殊の解釈の展開について」(The interpretation of Manjusri in the Buddhist Literatures)2008

    • 著者名/発表者名
      スダン・シャキャ(SHAKYA SUDAN)
    • 学会等名
      The 2008 Korean Conference of Buddhist Studies(韓国佛教学会)
    • 発表場所
      Dongguk University, Seoul
    • 年月日
      2008-05-18

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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