本研究は、英語でのスピーキングにおいてWTC(コミュニケーションを図る意思)の伸長を目的とした授業実践を行い、その効果を検証することを目的とした2年間の研究である。1年目である平成19年度は、そのパイロットスタディーとして、効果測定に用いるための尺度作成が目的であった。そのために、英語で話すことに対する抵抗感を測定するための質問紙尺度を作成した。 抵抗感はWTC研究に基づき、英語で話すことに対する能力認知が低いこと、英語で話すことに対する不安が高いこと、発話の回避、といった3つの要因からなるとし、それらを測定する項目(15項目、各要因5項目ずつ)を作成した。これを、次年度の本調査の対象と同じ授業において実施し、165名からデータを得た。 項目の選択においては、本調査が実際の授業内で行われるため、授業の妨害を少なくするために項目をできるだけ少なくすることが望ましい。そのため本分析では、確認的因子分析を用いて適合度を基に項目の選択を行った。その結果、各要因を3項目により測定するモデルが採択され、計9項目による尺度が作成された。各要因のクロンバックαの値は内的整合性が十分に高いと解釈できる範囲にあり、また項目の内容から妥当性も問題ないと判断された。 次年度は、この尺度を用いて授業の効果を測定する。また、尺度が研究対象となる学生よりも広い範囲に適用可能かどうかという点についても検証し、作成された尺度の応用範囲を広げる予定である
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