本研究は、絶対主義政治理論と古代の政治学の関連の様態を分析することを通じて、絶対主義政治理論は人文主義の延長線上に位置づけられる、との思想史理解を研究成果として獲得した。これまで国内外の通説的理解では、人文主義は、政治的人文主義を媒介にして共和主義と関連づけられ、これらの思想潮流に対する批判こそが絶対主義政治理論である、と論じられてきた。しかし本研究は、初期近代とは人文主義的な思想態度が一般化した時代である、というばかりでなく、絶対主義政治理論もむしろ人文主義の正統な継承者のひとつである、との思想史的事実を析出した。
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