主要な研究成果は以下のとおりである。(1)文化本質主義的文化観や規範化されたコミュニケーション・パターンが日本語教育においても、教科書や教授を通じて、再生産されていること。したがって、受講生側がこうした教授内容を批判的に検討すること、また、教育者側は、そうした自らの営為を批判的に内省するとともに、受講生への批判的検討を促すアプローチを実践する必要がある。(2)特定のコミュニケーション・スタイルおよびコミュニケーション能力が、グローバルな標準として、使用される言語範囲を超えて、無意識的に受容されやすいことを「言語」の標準化との親和性・類似性の点から明らかにした。(3)異文化コミュニケーション研究教育を3つのステージから分析し、近年の批判的アプローチ(Critical Intercultural Communication;Critical Communication Pedagogy)の日本における応用の可能性を検証した。(4)コミュニケーション研究における、コミュニケーション概念の史的展開を(a)伝達モデル;(b)社会構築モデル;(c)批判的モデルの3つのモデルから検証した。
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