量子ゲージ理論において、分配関数は最も基本的で重要な量であると考えられる。Wittenは二次元コンパクト多様体上のコンパクトリー群による量子ゲージ理論の研究に際し、その分配関数の極限が、対応するリー群の有限次元既約表現の次元に関するディリクレ級数となることを見出した。当該研究はこのWittenゼータ関数を含む「ルート系に付随する多重ゼータ関数」の解析によって種々のゼータ関数の総合的な理解を目指すものである。具体的には以下を目標とする。 (1) ルート系に付随する多重ゼータ値及びそれらの関係式、関数関係式の完全な理解。 (2) contour積分の拡張を用いた、ルート系に付随する多重ゼータ関数の有理型関数としての理解。 (3) ルート系に付随する多重ゼータ関数理論の応用。 (1) ルート系に付随したBernoulli多項式を用いた多重L値及び値の関係式等についての研究。 (2) Riemannゼータ関数論へ応用。 (3) Euler-Zagier多重ゼータ値の関係式への応用。 (4) 量子ゲージ理論への応用。
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