研究概要 |
本年度は, 2階非線形常微分方程式の解の振動性について考察した. 次の二つの研究成果は, 線形微分方程式を一般化した半分線形と呼ばれる非線形微分方程式の解の構造に着目することによって得られた. 1. 時間遅れ非線形摂動項をもつ半分線形微分方程式が振動しない解をもつための十分条件を与えた. 得られた結果は, 先行研究で与えられた振動条件(全ての解が振動するための十分条件)と対をなす条件であり, さらに,その振動条件が最善であることを保障するための条件でもある. なお, 証明はEuler型半分線形微分方程式の解から構成される関数列を利用する. 2. 一次元p-Laplacianをもつ非線形微分方程式に対して, 解の振動に対する比較定理を与えた. この比較定理とEuler型半分線形微分方程式の振動判定条件を組み合わせることによって, 一次元p-Laplacianをもつ方程式の振動条件(全ての解が振動するための十分条件)と非振動条件(全ての解が振動しないための十分条件)を導くことができた. 先行研究と本研究の本質的な違いは, 条件の中に積分を導入したことである. それによって, 従来の結果を大幅に改良することができた, なお, 比較定理の証明は, 一次元p-Laplacianをもつ方程式を2次元微分方程式系に変換し, それを相平面上で解析する.
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