研究概要 |
本研究課題は,電気浸透流により「流体の搬送」機能と「混合」機能を分離して流体の制御を行うことにより,混合部長さを従来の数分の1に抑え,流量変動にも対応した高性能マイクロ・ミキサーを開発することにある.本年度は以下の2項目について実施した.詳細を以下に記す. 1.混合促進技術の開発 「混合」の過程はマイクロチャンネル内での逆流により促進される.流路断面内の逆流は流路内の電場を非定常に制御することにより形成されることが明らかとなった.様々な印加電圧パターンを試みた結果,マイクロ・ミキサーのTジャンクション部に流入する2種の流体が「折り重なる」ように多層化され,その結果,ジャンクション部から約1.5mmの位置で90%の混合度まで達することに成功した. 2.電場を利用した流体の駆動・制御技術の開発(非定常電気浸透流の数値シミュレーション) 上記の2流体の「折り重なり」による混合促進の評価,ならびに流体の効率的な搬送の評価のため,非定常の電気浸透流のシミュレーションを行った.マイクロチャンネル内の電場を解析し,別途実験によって求めたゼータポテンシャルを用いて流動場の計算を行い,電場が切り替わった際の非定常の電気浸透流のシミュレーションが可能となった.本手法を用いることにより,電気浸透流により駆動されるマイクロ・ミキサーの最適電場印加パターンの評価が可能となった.
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