研究概要 |
1.微小変位動作時におけるテーブル装置の非線形摩擦モデリング 研究室に現有のボールねじ駆動テーブル装置を対象に,微小変位動作時(〜1mm変位)における非線形摩擦挙動を解析し,その動特性を再現しうる数学モデルを構築した。供試装置ではボールねじ部とリニアガイド部に転がり案内機構を有するが,微小変位動作時には転がり案内機構と内部の潤滑油により生ずる摩擦力が非線形挙動を示す位置決め性能に影響を与えることが知られている。そこで,ばね特性を模擬する二次系モデルを複数並列接続し,微小変位動作時の非線形摩擦挙動を再現できる数学モデルとした。また,同一方向に繰り返し送り動作を行う場合(以下,インチング動作)と往復動作を行う場合では,摩擦力の初期値の違いから位置決め性能がばらつく問題がある。そこで,インチング動作と往復動作による初期値の違いを陽に考慮する数学モデルとしている。 2.外乱フィードフォワード補償によるテーブル装置の高速・高精度位置決め 以上で得られた非線形摩擦モデルは,微小変位動作時において動作パターン(インチング動作,往復動作)による初期値の相違をも再現しうる数学モデルである。そこで,得られた非線形摩擦モデルを用いて変位指令から外乱力を推定し,モータトルク指令にフィードフォワード補償する位置決め制御系を構成した。また,研究室に現有のボールねじ駆動テーブル装置を対象に位置決め実験を行い,動作パターンによらず,ばらつきの少ない優れた位置決め性能を有することを確認した。
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