本研究は植民地期の文献資料および住居建築の実態調査に基づき、インド各地におけるチョールの伝播・定着の実態の解明を目指した。植民地期のムンバイに発生した集合住宅形式であるチョールは、現在のコルカタにおいても相当数の存在が確認できるが、その規模・形状においては相当の差異を示す。文献には他の地域においても同様の住居類型の伝播が示唆されているが、特に重要な役割を担ったのが都市改善トラストである。トラストの活動により、チョールは当地におけるマスハウジングの雛形として、その後の集合住宅の形式に大きな影響を与えた可能性が示された。これは今後の研究的視点として重要なものと位置づけられる。
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