成人T細胞白血病(ATL)は抗癌剤治療抵抗性が高いため、予後は極めて不良である。我々は、アポトーシスを抑制する因子であるsurvivinがATL、特に急性型ATLに高発現することとヒ素はATL細胞のsurvivin発現レベルを低下させることを見出した。Survivinの発現は、ATL細胞の抗癌剤耐性の一つの要因と考えられ、ATL治療の標的分子として注目されている。今回の研究で、ヒ素がIκB-αの分解を抑制することによって、NF-κBの核への移行を阻害し、NF-κBを介するsurvivinの転写を抑制し、ATL細胞のアポトーシスを誘導したことは明らかにした。また、SurvivinがXIAPと結合する部位(15-38aa)を標的としたオリゴペプチドはATL細胞株S1TとMT2の細胞増殖を抑制し、アポトーシスを誘導することを見出した。このペプチドによるATL細胞のアポトーシス誘導のメカニズムを解明すれば、ATLの新しい治療法の開発に貢献できると考えている。
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