研究概要 |
癌細胞および正常細胞由来のミトコンドリアDNAとHELA細胞由来のρ0細胞を元としたCybrid細胞を8種類(15株)樹立した。Western blotにて細胞融合の成功を確認した。これらの細胞の特徴(呼吸活性、DNAコンテント、膜電位ほか)を測定し、親細胞と比較した。いずれのCybrid細胞もバイアスのかかる変異、特徴を示していなかった。 In vitroの検討で癌細胞由来ミトコンドリアDNAを持ったCybrid細胞が正常細胞のそれと比較して、5Fu,CDDPに対する耐性が認められた。蛍光顕微鏡によりApoptosisを中心に検討した。これらは時間、濃度のパラメーターを変化させても同結果であった。さらに分子生物学的検討において、チトクロームC細胞質への放出やカスパーゼ3活性も癌細胞由来ミトコンドリアDNAを持ったCybrid細胞に多く見られ、アポトーシスに差があることを確認した。抗癌剤投与に対するP53の上昇をWestern blotで確認したところ癌細胞由来ミトコンドリアDNAを持ったCybrid細胞に優位に高く認められた。現在更なるアポトーシスカスケードの検討を行っている。 In vivoにおいてもヌードマウスにこれら細胞を移植して実験を開始している。細胞を移植後、5FU、CDDPを投与することにより正常細胞および癌細胞由来のCybrid細胞の両細胞群において増殖の抑制が見られたが、癌細胞由来ミトコンドリアDNAを持ったCybrid細胞においては、抑制率が少なく組織を観察(HE、TUNELをはじめとした各種免疫染色)してもApoptosisやNecrosisを示す領域が少ないことが分かった。 平成20年度に日本外科学会総会、日本消化器外科学会をはじめとした学会発表を予定している。
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