研究概要 |
本研究の目的は,行政分野で働く保健師(行政保健師)に関して,所属機関および発達期別に,キャリア志向と職務満足度からみた適材適所のあり方について検討することである。10府県における行政保健師7,170名を対象に,自記式質問紙による郵送1次調査を実施した。回収数は2,065名(28.8%),有効回答数2,003名(97.0%)であった。1次調査実施の約2ヵ月後,協力同意者252名(対象数の3.5%,回収数の12.2%)に対して再テストを実施した。再テストの回収数は238名(94.4%),有効回答数223(93.75%)名であった。 1次調査における対象の概要は,保健師としての経験年数は14.5±9.6年目,所属機関は府県15.1%,政令市・中核市21.5%,市町村62.2%であり,配属部署は保健部署59.6%,女性99.0%であった。保健師キャリア志向の基礎分析として,25項目についてバリマックス回転による主因子分析を行った結果,5因子19項目が選定され,各因子に管理志向,協働志向,奉仕志向,専門志向,安定志向と命名した。クロンバッハの信頼係数はα=0.863(各志向ではα=0.612-0.821)であり,内的整合性は良好と考えられる。 今後は,所属機関および発達期別にキャリア志向ならびに職務満足度の回答得点の平均値に関してt検定あるいは一元配置分散分析を行うとともに,キャリア志向と職務満足度の関連に関して相関係数を算出する。また,データ分析の結果とその解釈について,統計学ならびに研究分野の専門家とともに,キャリア志向と職務満足度からみた適材適所のあり方についての妥当性を検討し,学会での発表および論文を投稿していく予定である。
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