研究課題/領域番号 |
19GS0103
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川濱 昇 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60204749)
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研究分担者 |
高木 光 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60114526)
新川 敏光 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30216212)
木南 敦 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30144314)
服部 高宏 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00218504)
高山 佳奈子 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30251432)
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キーワード | 構造改革 / 自己決定 / 社会保障 / 競争法 / 市場秩序 / 消費者法 / 秩序形成 / エンフォースメント |
研究概要 |
平威23年度は、(1)市場の秩序と消費者支援、(2)個人の自律と社会保障・労働環境に関してホスト構造改革期において整備すべき法的プログラムについて探求するとともに、(3)エンフォースメントメカニズムの全体的な再検討を行い今後の目指すべき方向性を明らかにした。 (1)に関しては、消費者の認知能力の限界に対して競争市場がそれを改善する可能性と前者の改善が後者を改善する可能性という複雑なフィードバックプロセスを検討し、消費者法・競争法の双方を視野に入れた法的規制のあり方を探究した。それによって、従来無視されてきた消費者保護の方途を示した。また、消費者法全般に関連して必要とされる規制を明らかにするとともに、今後備えるべき規制の類型を提示した。さらにパターナリスティックな介入の是非を判断する理論的前提として、個人の自律性と自立性の現代的意義を明らかにした。また、市場におけるルールの実現に不可欠な企業ガバナンスの再構成についても全体的な展望を行った。 (2)に関しては、構造改革期を通じた社会保障のあり方の世界的変容を前提に考え得るシステムの諸類型とその得失を明らかにするとともに、ミクロな場におけるケアの視点を取り入れる方策について解明した。また、労働環境についても個人の意思決定環境の改善や単純なパターナリズム型介入では不充分であることを明らかにして、実効的な紛争解決法も視野に入れたあるべき介入形態の方向性を示した。 (3)に関しては、これまでわが国の公法的な「実効性確保」の未整備である部分を剔出して行政制裁金・強制金の導入・強化の方向性を明らかにした。また、刑事制裁によるエンフォースメントについてもその限界を明らかにして、非刑事の制裁金制度の拡充が必要であることを明らかにした。
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