研究課題
高齢化の進展とともに認知症の増加が社会問題となっている。近年、生活環境要因が注目されており、なかでも趣味活動の認知症予防効果が指摘されてきた。しかし、働く高齢者が増えている現代において、1日の大半を占める仕事の有無の影響を検討する必要がある。また、男性と女性ではライフスタイルが異なるであろう。本研究では、地域高齢者の認知機能の経年的変化に対する趣味および仕事の影響の性差を明らかにすることを目的とした。2016年9月~2017年11月(ベースライン)に脳健診を受診した地域在住高齢者について、2021年9月~10月に追跡調査(フォローアップ)を実施した。認知機能検査(MMSE)と趣味の有無の質問および仕事の有無の質問を再実施し、欠損値のない122名(男性51名、女性71名、平均年齢71.2±6.9歳)について、縦断的に解析を行った。t検定の結果、女性において、ベースライン時に趣味があった人の方がなかった人に比べて、ベースライン時からフォローアップ時におけるMMSEスコアの低下量が有意に小さかった(p=0.016)が、男性では有意差は認められなかった(p=0.458)。一方、ベースライン時の仕事の有無によるMMSEスコアの低下量の差は、女性、男性ともに有意でなかった(p=0.638, p=0.370)。よって、女性において趣味があることにより将来の認知機能低下を防ぐ可能性が示唆された。一方、仕事の有無による将来の認知機能低下への影響は明らかとはならなかった。なお、COVID-19感染拡大の影響により当初の計画通りに調査を進めることが困難であった。今後も追跡調査を継続し、再解析を行う予定である。
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