研究課題/領域番号 |
19H00530
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
窪薗 晴夫 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 理論・対照研究領域, 教授 (80153328)
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研究分担者 |
五十嵐 陽介 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (00549008)
松森 晶子 日本女子大学, 文学部, 教授 (20239130)
上野 善道 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (50011375)
松浦 年男 北星学園大学, 文学部, 教授 (80526690)
新田 哲夫 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (90172725)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 消滅危機方言 / プロソディー / アクセント / イントネーション / 日本語 / 琉球語 |
研究実績の概要 |
本土の方言については次の5つの方言に関して調査研究を行った。まず北奥方言では用言語彙のアクセントについて調査研究を行ない、それぞれの詳しい資料を公表するとともに、この方言の昇り核の由来について詳述した。鹿児島方言および甑島方言については、呼びかけイントネーションに関して調査研究を行い、両方言において呼びかけが文末のピッチ下降として実現することを明らかにした。また語アクセントの変容について両方言の異同を明らかにした。天草本渡方言ではアクセント調査を実施し,基礎語彙を中心に1000語程度のデータを収集、その成果を資料として公刊した。また,近接する福岡方言のイントネーションに関してデータ収集し学会発表を行った。 琉球の危機方言に関しては次の3つの方言について調査研究を行った。まず琉球久米島方言では体言語彙のアクセントについて調査研究を行ない、詳しい資料を公表した。次に金武方言については、名詞約1600語のアクセントデータを収集し、それをデータベース化した。この方言の体系が本土の多くの体系とは著しく異なる特徴を持ち、琉球語の歴史研究にも重要な意義を持つことを明らかにした。最後に南琉球多良間方言アクセントについては、弁別特徴が有核の韻律語の末位モーラが常に低くなる「アクセント低核」の解釈を発表し、また、名詞句の主要部に語彙的な指定とは無関係に義務的に核が置かれることを示した。 これらの個別方言の調査研究に加え、日本語・琉球語諸方言について疑問文イントネーションおよびフレージングに関する文献調査を行い、その分析結果を国際学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響を若干受けたが、予定していた方言調査の大半を実施し、学会発表および論文公刊についても概ね計画通りの成果をあげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
方言調査において収集したデータの分析を進め、その結果を学会等で発表した上で、論文や著書にまとめる作業を行う。また不足しているデータを補うために、引き続き方言調査を行う。調査で収集したデータについてはデジタル公開を目指して切り取り作業などを行う予定である。
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