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2021 年度 実績報告書

公法における国境概念の変容:「非国境型行政空間」の法的エコシステムの解明と設計

研究課題

研究課題/領域番号 19H00570
研究機関神戸大学

研究代表者

中川 丈久  神戸大学, 法学研究科, 教授 (10252751)

研究分担者 小島 立  九州大学, 法学研究院, 教授 (00323626)
竹内 真理  神戸大学, 法学研究科, 教授 (00346404)
興津 征雄  神戸大学, 法学研究科, 教授 (10403213)
黒沼 悦郎  早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (40170138)
島村 健  神戸大学, 法学研究科, 教授 (50379492)
玉田 大  神戸大学, 法学研究科, 教授 (60362563)
川島 富士雄  神戸大学, 法学研究科, 教授 (80234061)
渕 圭吾  神戸大学, 法学研究科, 教授 (90302645)
成瀬 剛  東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 准教授 (90466730)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード域外適用 / 立法管轄権 / 執行管轄権
研究実績の概要

2021年度から,研究の中心軸を,立法管轄権から,執行管轄権の域外行使に移した。立法管轄権については,域外適用の法理のほとんどが国内法の解釈の問題であることを明らかにしたのに対し,執行管轄権については,その分類それ自体の検討を行った。
まず,国際法学における「立法管轄権」と「執行管轄権」の区分そのものに対する国内法学からの疑問点を整理し,国際法学,および国内法学(とくに公法学)との対話の機会を,外部からの話題提供者をお呼びし,繰り返し設けた。その結果,国際公法学における国家管轄権の分類の視点がいかなる点で,国内公法学における国家権力の分類の視点と異なるのか,また,国内公法学(行政法学)における「行政過程論」や「法の継続的形成」の視点が加わっていることから,さらにその乖離が大きくなっていることが明らかになった。国際公法学において,国内法学の成果を適宜用いている点がある一方で,国内公法学では国際公法学の議論をほとんど参照していないことが,あ国内法と国際法の間の対話を阻害していることも確認された。
そこで,国際法学における国家管轄権の成立の歴史に遡り,そこに,国内公法学における国家権力分類を援用する必要がある場面が,どこまであるのかの検討を行った。
その一方で,電子データを対象物とする場合の国家権力(執行管轄権)の域外適用の捉え方の研究をするための準備作業を始めた。刑事法,国際法の専門家を招いて,国際的な議論の現状把握に努めた。国内の刑事実務における域外データ捜査における国際法的な観点及び国内法での規律の観点の混成を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

立法管轄権の研究を終え,執行管轄権の研究に移行することができた。
理論的側面としては,国際法学と国内公法学との視点の違いをかなり明らかにすることができ,かつ国際法学が国内法学の概念を「つまみぐい」する一方,国内法学は,国際法学を「敬して遠ざける」傾向にあり,没交渉的に議論が進められてきたことの問題性を認識することができた。
実務的側面としては,データに対する越境捜査という,最高裁判決もありまた実務的取り組みが進められている場面から調査を始めることができた。こちらは,刑事法学の国内法としてものこれまでの蓄積が,電子データという越境性が顕著な対象にどこまで適用可能かを検討した。
こうして,執行管轄権に焦点をあてた研究ステップへ移行することができた。
国際法学において,執行管轄権それ自体についての詳細な研究があるわけではなく,控除的概念として使われている現状を,より生産的な議論に変えていく方策を得ることができたため,研究はおおむね順調に進行していると自己評価している。

今後の研究の推進方策

執行管轄権に焦点を絞って,概念の整理,国際公法学における国家管轄権論それ自体の再整理の試みを行うため,国際公法学との一層密接な対話,共同検討を行う。
同時に,電子データを対象として,越境的捜査,越境的行政規制の仕組みの現状調査を行う。国内法の域外適用だけでなく,その応用として,各国当局間が越境的に組み立てる規制の仕組みを,各国内法でどのように仕組むのかという視研究点である。
以上をふまえて,域外適用について,解釈論,立法論の双方にわたる基礎理論の構築という,本研究の目指したことへの到達を目指す。

  • 研究成果

    (22件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (15件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 行政訴訟における訴えの利益32022

    • 著者名/発表者名
      中川丈久ほか
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 98-1 ページ: 4-48

  • [雑誌論文] 処分性の定式に関する疑問――最高裁昭和39年10月29日判決はリーディングケースか2022

    • 著者名/発表者名
      興津征雄
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 98-2 ページ: 78-101

  • [雑誌論文] デジタル・サービス税(Digital Services Tax)をめぐる動向2022

    • 著者名/発表者名
      渕圭吾
    • 雑誌名

      民商法雑誌

      巻: 157-6 ページ: 1-29

  • [雑誌論文] The Contest for Economic Hegemony in Asia: With a focus on rules on digital trade Discuss Japan 2022年3月2022

    • 著者名/発表者名
      川島富士雄
    • 雑誌名

      Discuss Japan

      巻: 0 ページ: オンラインのためなし

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 中国におけるデジタルプラットフォーム事業者の規制強化―独占禁止法を中心に―2022

    • 著者名/発表者名
      川島富士雄
    • 雑誌名

      独立行政法人経済産業研究所ディスカッションペーパー

      巻: 22-J-009 ページ: 1-35

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中国におけるデジタルプラットフォーム事業者の規制強化 ―その背景、特徴と見通し―2022

    • 著者名/発表者名
      川島富士雄
    • 雑誌名

      国際経済連携推進センター編 コロナ禍で変わる地政学 : グレート・リセットを迫られる日本

      巻: 1 ページ: 36-46

  • [雑誌論文] デジタルプラットフォームと消費者取引2021

    • 著者名/発表者名
      中川丈久
    • 雑誌名

      ジュリスト

      巻: 1558 ページ: 40-46

  • [雑誌論文] 行政訴訟における訴えの利益12021

    • 著者名/発表者名
      中川丈久ほか
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 97-11 ページ: 3-35

  • [雑誌論文] 行政訴訟における訴えの利益22021

    • 著者名/発表者名
      中川丈久ほか
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 97-12 ページ: 3-36

  • [雑誌論文] SDGsと気候訴訟2021

    • 著者名/発表者名
      島村健
    • 雑誌名

      ジュリスト

      巻: 1566 ページ: 49-55

  • [雑誌論文] 環境裁判例の動向2021

    • 著者名/発表者名
      島村健ほか
    • 雑誌名

      民事判例

      巻: 22 ページ: 53-61

  • [雑誌論文] ソーシャル・メディア・プラットフォームと公私の区分(下)2021

    • 著者名/発表者名
      興津征雄
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 93-12 ページ: 107-112

  • [雑誌論文] ソーシャル・メディア・プラットフォームと公私の区分(上)2021

    • 著者名/発表者名
      興津征雄
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 93-11 ページ: 85-90

  • [雑誌論文] アメリカ合衆国における州籍相違管轄権と信託2021

    • 著者名/発表者名
      渕圭吾
    • 雑誌名

      信託研究奨励金論集

      巻: 42 ページ: 203-211

  • [雑誌論文] 中国独占禁止法によるデジタルプラットフォーム事業者の規制 ――アリババおよびテンセント事件を中心に2021

    • 著者名/発表者名
      川島富士雄
    • 雑誌名

      NBL

      巻: 1205 ページ: 19-25

  • [学会発表] デジタル貿易ルールの展望: アジア太平洋地域を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      川島富士雄
    • 学会等名
      電子情報技術産業協会(JEITA)通商委員会臨時会合
    • 招待講演
  • [学会発表] 行政法関連分野での課題-極悪層対策の欠落をどう補うか2021

    • 著者名/発表者名
      中川丈久
    • 学会等名
      AML-CFT研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Asian Experience with Extraterritoriality2021

    • 著者名/発表者名
      竹内真理
    • 学会等名
      online workshop on Extraterritoriality in International Law, organized by Maurer School of Law, Indiana University and Utrecht University
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 中国におけるデジタルプラットフォーム事業者の規制―独占禁止法を中心に―2021

    • 著者名/発表者名
      川島富士雄
    • 学会等名
      プラットフォームビジネス研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 中国独占禁止法の最新動向と巨大IT・プラットフォーム事業者に対する規制強化2021

    • 著者名/発表者名
      川島富士雄
    • 学会等名
      公正取引協会外国競争法研究会
    • 招待講演
  • [図書] コロナ禍で変わる地政学 : グレート・リセットを迫られる日本2022

    • 著者名/発表者名
      国際経済連携推進センタ
    • 総ページ数
      298
    • 出版者
      産経新聞出版
    • ISBN
      4863061595
  • [図書] GOVERNING WITH PUBLIC AGENCIES The development of a Global Administrative Space and the creation of a new role for public agencies2021

    • 著者名/発表者名
      興津征雄ほか
    • 総ページ数
      191
    • 出版者
      Poseidon
    • ISBN
      978-91-985387-5-5

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公開日: 2023-12-25  

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