研究課題/領域番号 |
19H00582
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大西 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (90254375)
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研究分担者 |
品田 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10226136)
秦 正樹 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (10792567)
堤 英敬 香川大学, 法学部, 教授 (20314908)
藤村 直史 神戸大学, 法学研究科, 教授 (20551493)
高橋 百合子 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (30432553)
川中 豪 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 上席主任調査研究員 (40466066)
飯田 健 同志社大学, 法学部, 教授 (50468873)
小林 哲郎 神戸大学, 法学研究科, 研究員 (60455194)
SONG JAEHYUN 同志社大学, 文化情報学部, 助教 (70822617)
荒井 紀一郎 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (80548157)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 選挙ガバナンス / 積極的投票権保障 / 正確な投票 / 選挙管理 / 選挙研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、選挙ガバナンスが「正確な投票(correct voting)」に如何なる影響を与えているのかを明らかにすることを目的とする。本研究は、選挙ガバナンスのうち近年世界的に進展している積極的投票権保障が、選挙において有権者の選好に最も近似する政党に投票することを意味する「正確な投票」に影響を与える条件とメカニズムを、実験およびサーベイ調査を用いて解明する。条件は多国間比較で、メカニズムは日本を事例に明らかにする。すなわち、積極的投票権保障のうち、本研究では、投票環境の改善(A)、情報アクセス改善(B)と、有権者教育(C)を対象とする。後者では、ABCの3要素がどのように正確な投票に影響するのかを日本を対象に明らかにする。前者では、党派的キューの有効性の差異がこれら3要素の投票行動への作用に違いをもたらすのかを、党派的キューの有効性に多様性が生じる多国間比較で明らかにする。研究成果は国内外の学会および海外の主要査読誌で報告し、得られた知見の国際的な有用性を主張する。 令和2年度は、第1に、前年度に実施した「正確な投票」に関するサーベイ実験結果を分析し、概念の妥当性を検証し、多国間で適用可能なモデルを検討した。第2に、選挙ガバナンスが「正確な投票」に与える影響について、情報環境に注目した実証分析を行う。ABC3つのいずれに対しても、前年度にプレテストとして実施した参議院選挙サーベイ調査を分析し、質問項目を精査した上で衆議院選挙サーベイ調査に備えた。第3に、選挙管理委員会事務局に対するヒアリング調査を行い、それをもとに全国市区町村選管事務局調査を実施した。第4に、メキシコで行われた国会議員選挙を対象に有権者に対するアンケート調査を実施したほか、韓国、フィリピンについては文献調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内調査については、新型コロナウィルスの影響を受け1年後となったが全国市区町村選管調査を実施できた。国際調査については新型コロナウィルスの影響で海外現地調査が不可能となる中、メキシコについては、代替計画として、令和1年度で実施した参議院選挙を利用したプレテストをモデルに有権者に対するサーベイ調査を実施した。国内調査については曲がりなりにも調査・分析を進めることができたが、国際調査については外的要因によるものとはいえ重要な現地調査ができなかったため、やや遅れているとの判断に至った。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、第1に、アメリカで提唱された「正確な投票」に関する議論の妥当性に関する日本での検証を踏まえて、日本を含む他国においても同じ文脈・意味で理解可能かを明らかにする。第2に、選挙ガバナンスが「正確な投票」に与える影響について、情報環境に注目した実証分析を行う。第3に、有権者教育のあり方についての調査結果を分析する。第4に、メキシコ調査を踏まえて、多国間比較に向けた検討を行う。 具体的には、第1に、「正確な投票」に関するサーベイ実験結果の分析を継続する。第2に、ABC3つのいずれに対しても、衆議院選挙サーベイ調査を分析し、参議院選挙サーベイ調査を実施する。第3に、若年層アンケート調査、投票環境アンケート調査、全国市区町村選挙管理委員会事務局アンケート調査を分析する。第4に、メキシコ調査を分析し、韓国、フィリピンを含む多国間比較に向けた検討を行う。研究結果は研究会を通じて共有し、成果の発信につとめる。
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