研究課題/領域番号 |
19H00592
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
神林 龍 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40326004)
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研究分担者 |
大山 睦 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (20598825)
照山 博司 京都大学, 経済研究所, 教授 (30227532)
玄田 有史 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (90245366)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自営業 / マネジメント / プラットフォーム / 開業 / 雇用仲介 |
研究実績の概要 |
本研究の第一の部分である、政府統計を用いた自営業衰退の分析については、2019年度は統計申請作業に費やされた。総務省『就業構造基本調査』『労働力調査』について、統計法33条に則った手続きを2019年6月に着手し、9月を目途に利用を開始する予定だった。しかし、手続き中に統計法の改正があり、申請条件や様式が変更されたことから、書類の書き直しなどにより審査が大幅に遅れ、利用許可が下りたのは2020年3月30日だった。したがって、政府統計の個票を用いた分析は、2020年度以降にずれ込むことになった。そのかわり、公表データや匿名データを用いて直近の自営業の減少傾向を吟味し、本研究が依拠している自営業の衰退という現象が、2010年代を通じても変化がなかったことを確認し、以前の研究成果と合わせていくつかの研究会で報告した。 本研究の第二の部分である開業時の経営分析については、調査票設計の参考にするために、米国やフランスに赴き、2020年度から本格化するMOPSプロジェクトについての情報収集にあたった。同時に、公益財団法人日本生産性本部や中小企業金融公庫など、公的機関とコンタクトをとりはじめた。 本研究の第三の部分である、店舗を持たずフリーランサーとして独立開業する業態の分析については、独立時のフリーランサー・ネットワークの特徴を把握することを通じて進めた。特に、フリーランサーに課される可能性のある競業避止義務に注目し、内閣府調査を用いてその役割について分析を進めたほか、何名かの専門家を招いて情報を共有した。さらに、ネットワークを介した開業支援に特化したプラットフォームの協力を得て、情報収集を図り、独立開業者のネットワーク形成と経営管理手法との関係についてのデータ構築の可能性についても協議をはじめた。加えて、雇用仲介業での事例について、RAの協力のもと構造モデルを用いた特徴把握を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自営業研究の基礎情報を提供する総務省『労働力調査』『就業構造基本調査』の分析が、統計法改正の影響から遅延し、2019年9月を予定していた分析開始時期が2020年4月にずれ込んだ。
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今後の研究の推進方策 |
遅れ気味の政府統計の分析については、新たな研究協力者(コールゲート大学加藤隆夫氏、シカゴ大学朝井友紀子氏)を得ることができ、2020年度内に予定に追いつくことを企図したが、2020年3月以降の新型コロナウィルス感染症の流行により加藤氏・朝井氏の来日日程に大幅な変更が余儀なくされることが予想される。その場合、一橋大学大学院の加島遼平氏の協力を仰ぎ、分析は遅滞なく行う。また、厚生労働省『毎月勤労統計』や『賃金構造基本統計調査』、経済産業省『工業統計』や『企業活動基本調査』などを用いて、直近の感染症流行を含めて、開業行動や中小規模事業者に与えた影響を含めて検討を開始する。開業パネル調査については、開業支援プラットフォームの協力を第一に考え、協力者の選定に入ると同時に、2021年1月を目途に実施予定のMOPS調査の調査票を参考に、調査票の作成に入る。また、雇用仲介についてのモデル分析については、香港科学技術大学の川口康平氏の協力のもとに結論を導く。
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