研究課題/領域番号 |
19H00612
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
石黒 格 立教大学, 現代心理学部, 教授 (90333707)
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研究分担者 |
辻 竜平 近畿大学, 総合社会学部, 教授 (40323563)
清水 裕士 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60621604)
福島 慎太郎 東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (80712398)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | パーソナル・ネットワーク / スノーボール・サンプリング / 地域内ネットワーク / ポジション・ジェネレータ / ネーム・ジェネレータ / 排外主義 / 時系列比較 / 地域間比較 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、2005年に実施された全国パーソナル・ネットワーク調査の再現調査を行うことで、日本人の社会関係の実態、ならびにその捉え方について、現在までの変化を検討することであった。covid-19の感染状況を鑑みて、2020年度末に実施する予定であった本調査は延期された。本年度は、延期された本調査を実施した。 本研究は、前回調査の方法論を可能なかぎり正確に再現することが、過去と現在の比較という目的を達成するために重要であった。実査を委託する事業者とも緊密に連携をとったことで、以下の3点を除き、ほぼ完全な再現ができたと考えている。相違点は以下の通りである。第一に、予算上の制約からサンプル・サイズは前回調査よりも200小さい1900となった。第二に、市町村合併等の事情によりサンプリングが不可能になった自治体を他の自治体に置き換えた。第三に、コアとなる質問項目は変更がなかったものの、2005年当時には一般的ではなかった社会関係についての質問を追加した。その分、現在の社会状況から意義が小さいと考えられる項目を削除した。追加された項目は、実社会における変化と、研究の進展による変化の双方が反映されている。前者の例としてあげられるのはSNSを用いた他者とのコンタクトであり、これは2005年にはほぼ存在しなかったが、現代においては重要な社会関係の形成、維持手段である。排外主義についても追加した。後者の例としてあげられるのは最小相互作用minimum social interactionと呼ばれる、店員と客の相互作用のように従来の社会ネットワーク測定では対象となっていなかった弱い関係性で、近年はこうした関係性が人々のウェルビーイングを高める可能性が指摘されている。こうした新たな課題に対して測定の幅を拡げることで再現の正確性は損なわれるが、新たな情報が得られることの利益を優先した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の繰越申請時の研究計画では2021年度の秋頃には実査を行う予定となっていたが、covid-19の感染状況とワクチン接種の状況を鑑み、調査を2021年度末にずらした。実査は2月となった。目的としている2005年調査の実施は年度末であったため、調査結果の時系列比較という点では、より適切な計画となった。
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今後の研究の推進方策 |
予算上の制約により、2005年調査で対象地点となっていた自治体のいくつかを調査対象から除外せざるを得なくなった。2021年度の研究経費によって、完全にではないが、この問題を補完するべく同じ方法論による小規模な追加調査を実施する。
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