研究課題/領域番号 |
19H00639
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
儀我 美一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特任教授 (70144110)
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研究分担者 |
利根川 吉廣 東京工業大学, 理学院, 教授 (80296748)
山本 昌宏 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (50182647)
三竹 大寿 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (90631979)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | クリスタライン曲率流方程式 / 鋭敏界面極限 / 分数冪時間微分方程式 |
研究実績の概要 |
拡散・平滑化作用が非局所的な非線形拡散方程式を中心に、動的特異構造を許す弱解の概念を構築し、その解の性質を調べることを目的とする。典型的な動的特異構造として、結晶成長分野の「ファセット」、「多粒界」、流体力学分野の「速度場の挙動」などを扱った。次の5つのテーマについて研究成果をあげた。 1. 特異拡散方程式とその応用:駆動力付のクリスタライン曲率流について、一般の多角形から出発する場合が、特異常微分方程式の初期値問題を解くのに相当することを見出し、その解の一意存在を示した。 2. 弱解の安定性と長時間挙動:曲率流方程式の等高面方程式に成長項を加えた場合の長時間挙動を論じた。 3. 多粒界モデル:典型的なモデルである小林・ワレン・カーターモデルについて、その鋭敏界面極限のエネルギーを求めた。特に収束の位相を工夫したため、従来捉えられなかった量がエネルギーの極限として得られた。 4. 異常拡散現象:分数冪時間微分方程式については、最大値原理に基づく粘性解と、変分原理に基づく超関数解がある。これらが一致することを、レゾルベント型近似スキームを用いて証明した。 5. ナヴィエ・ストークス方程式:地球流体を記述するプリミティブ方程式の解がスケールしたナヴィエ・ストークス方程式を極限として得られるが、その収束をさまざまな位相で示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いろいろな困難はあったが、予定していた諸課題についてある程度の成果があげられた。今後、これらを基礎に大きく発展させられそうである。
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今後の研究の推進方策 |
オンラインの国際会議、オンラインの会合を積極的に企画し最先端の研究を意識しつつ、適切な課題を選別し、確実に成果をあげていきたい。コロナ禍が終息し、十分な対面会合が開催できるようになったら、さらに活発な研究活動を展開したい。
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