研究課題/領域番号 |
19H00893
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田中 健 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40359683)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 有機合成化学 |
研究実績の概要 |
今年度は、以下に示す研究を実施し有益な知見を数多く得た。カチオン性ロジウム(I)/軸不斉ビアリールビスホスフィン錯体触媒を用いた[2+2+2]付加環化反応による触媒的環構築法を検討し、π拡張キラルトリプチセン誘導体の不斉合成、S字型ダブル[11]ヘリセンの不斉合成、面不斉π拡張シクロファンの不斉合成、面不斉Zingzag型シクロフェニレン誘導体の不斉合成、などに成功した。そして、これらの合成されたπ共役分子の結晶構造、電子構造、光学特性、およびキロプティカル特性を実験と理論計算により明らかにした。また、特異な不斉構造とトポロジーを有する軸不斉シクロフェニレンーエチニレン誘導体の合成にも成功し、結晶構造、電子構造、光学特性、およびキロプティカル特性を実験と理論計算により明らかにした。特に、面不斉Zingzag型シクロフェニレン誘導体の不斉合成は、Zingzag型ベルト分子の世界初の合成であり、また、ベルト分子におけるはじめての触媒的かつ高エナンチオ選択的不斉合成である。したがって、この触媒的不斉合成は、きわめて大きな意義をもつ研究成果であると考えている。これらの成果は、環状π共役分子を含むパイ電子系化合物の触媒的不斉合成における、触媒的芳香環構築反応の高い有用性を示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は特に、面不斉Zingzag型シクロフェニレン誘導体の不斉合成に成功したことから、研究はおおむね順調に進展していると考えている。また、今年度得られたこれらの成果は、環状π共役分子を含むパイ電子系化合物の触媒的不斉合成における、触媒的芳香環構築反応の高い有用性を示すものである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、面不斉Zingzag型シクロフェニレン誘導体の不斉合成、に成功したことから、キラル型やヘリセン型環状π共役分子を含むさらに広範囲なキラル環状π共役分子の触媒的不斉合成を検討していきたいと考えている。そして、環状π共役分子を含むパイ電子系化合物の触媒的不斉合成における、触媒的芳香環構築反応の高い有用性を実証していきたいと考えている。
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