研究課題/領域番号 |
19H01112
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 文英 筑波大学, システム情報系, 准教授 (50512787)
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研究分担者 |
上出 寛子 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (90585960)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 物理エージェント |
研究実績の概要 |
コロナ禍に際して年度頭から迅速に計画を軌道修正し、研究室内での要素技術開発に注力した。その結果、複数の個別プロジェクトで予想を上回る速度で研究が進捗し、複数のハイレベル論文業績や学会受賞業績を産み出すことができた。 本研究の主幹をなす物理エージェント研究においては、仲介メッセージング機能の新しい要素技術であるweight-shifting法を考案し、ユーザ実験を行いながら同技術の設計指針をまとめていき、採択率24%のHCI分野最高峰国際会議であるCHIにてフルペーパー発表した。また、Interactivityトラックにて同技術のデモ発表も行った。 ハードウェア研究では、昨年度から進めていた温度パラメータ可変性に着目した物理エージェントの情動表出機能に関する研究成果をまとめてACM Transactions on HRIにフルペーパー掲載した。また、同研究はロボット学会学術講演会RSJ-2020におけるInternational Session Best Presentation Award Finalistに選出されている。 ソフトロボティクス研究については、温度と柔らかさの2変数可変性を有するliquid hapticsデバイスの開発を進めている。原理検証ユニットは完成したため、次年度は物理エージェントへの実装を行う。なお、こうした研究過程で物理エージェントの外装にずれ感覚提示を付与する新たな技術の着想を得て個別研究を進めた結果、最初の国内学会発表(SI-2020)にて優秀講演賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に詳述した通り、コロナ禍をふまえて要素技術開発に注力したが、結果、物理エージェントの各プロジェクトにおいては予想を上回る速度で研究が進むのみならず、当初計画には無かった新しい要素技術開発の芽も複数生まれた。 論文業績面でも、ACMトップ国際ジャーナルTHRI、およびHCI分野最高峰国際会議であるCHIに別々のプロジェクトからフルペーパー論文が採択されており、さらにはロボット学会学術講演会におけるInternational Session Best Presentation Award Finalist、計測自動制御学会SI-2020優秀講演賞の受賞も得た。 COVID-19の影響によりフィールド活動は制約を受けているが、それをふまえてもなお総合的に見て当初の計画以上に進展しているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
依然としてコロナ禍が続くと予想されるため、引き続き要素技術開発をより深めていき、同時にオンラインでのコミュニティ活動を開始する。 物理エージェント開発のプロジェクトにおいては、言語・非言語の両側面から、高齢者が他者とのコミュニケーションをとりやすくなり結果として安心感の提供につながる技術の開発を進める。次年度は特に、高齢者サイドのみならず対話相手サイドの情報もふまえた各種技術開発を進める。オンライン調査はこの状況下でも実施可能な有力手段であるため、オンライン調査による設計指針抽出も新たに検討する。 安心マテリアル開発のプロジェクトにおいては、温度変化を既存手法よりも格段に高速に行えるユニットの開発や、さらには温度と柔らかさの双方変数を同時に変化させることの可能なliquid hapticsユニットの要素技術開発などをさらに進める。 シニアコミュニティ活動は、コロナ感染対策をふまえた上でも行いうるオンライン実施の形態を検討する。
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