研究課題
本提案では、生体におけるDDSナノキャリア構造としてのDINSの動態を3次元観察することにより、ナノキャリアを構成する分子の性質を含めた様々なナノ構造について動態の変化を系統的に解析することを目的とし、DINSの空間的分布を動的に半定量的に追跡・検証するシステムの構築を目指している。最終年度となる今年度は次の(1)~(3)の課題を設定し、それぞれについて成果を得た。(1) 浸液を用いたOTN-NIR CT撮像のin vivo 4Dイメージングへの応用の可能性と問題点の提示:OTN-NIR光の屈折率界面における屈折と反射を抑制するために被写体を高屈折率溶液に浸漬した状態でTime Gated Imagingを行うことにより、CT原理によって3次元で被写体内の温度分布の描出が可能であることが、シリコーンファントムを用いた実験により実証された。(2) xytの3次元画像解析によるDINSの胆汁排泄経路のメカニズム解明:胆汁成分や血中成分とDINSの相互作用を色素の吸収と蛍光に基づき追跡を行い、DINSが胆道から十二指腸に排泄される機序を検討した。胆汁酸のみを用いた実験ではin vivoで見られたような蛍光性の維持は観察されず、肝臓中の脂質やたんぱく質、胆汁酸のすべての成分が肝細胞間の類洞周囲腔において起こす反応がカギを握ると推察された。(3) プローブコア構造の相違によるコアの性質がマウス体内挙動に与える影響の解明:DINSコア材質として、DSPE、ポリ乳酸(L体のみおよびDL混合体)について比較した結果、ポリ乳酸コアとした場合は胆道を経由した消化器への排泄は起こらないのに対し、コアの堅牢性がもっとも低く、疎水性がもっとも高いDSPEをコアとした場合のみ、蛍光性を保ったまま尾静脈→血中→肝臓→胆道→十二指腸→小腸→大腸という排泄経路をたどることが明らかになった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
Biomedical Materials & Devices
巻: 2023 ページ: 1~13
10.1007/s44174-023-00073-0
Analytical Sciences
巻: 38 ページ: 199~205
10.2116/analsci.21P283
Applied Optics
巻: 61 ページ: 638~638
10.1364/AO.445357
Applied Sciences
巻: 12 ページ: 7721~7721
10.3390/app12157721
Biomaterials Science
巻: 10 ページ: 6244~6257
10.1039/d2bm01213h
RSC Advances
巻: 12 ページ: 1310~1318
10.1039/d1ra08330a