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2020 年度 実績報告書

芸術における「再制作」学の構築に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 19H01205
研究機関東京大学

研究代表者

長木 誠司  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50292842)

研究分担者 田中 純  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10251331)
韓 燕麗  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10537096)
竹峰 義和  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20551609)
一條 麻美子  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30213987)
清水 晶子  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40361589)
乗松 亨平  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40588711)
加治屋 健司  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70453214)
森元 庸介  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70637066)
桑田 光平  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80570639)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード再制作 / 複製技術
研究実績の概要

以下の3項目を行った。
①タイムベースト・メディア・アートの再制作:タイムベースト・メディア・アートは、作品の構成要素を保存するという美術作品の保存に関する従来の考え方と対立するものであり、作品のオリジナリティの再考を促す再制作の一種であって、再制作なしには失われてしまう作品の出現が、美術作品の保存全般をどのように変えていくのか検討した。
②文学における作者性の歴史的再検討②:自動筆記から人工知能へ:20世紀のモダニズム文学においては、創造を作者の意図から解放すべく、シュルレアリストによる自動筆記やダダイストによるコラージュなどの手法が生じたが、これらの手法は、実際には作者の完全な廃棄にはいたらず、無意識などの「人間性」を創造の根拠としていた。それに対し、現在試みられている人工知能による文学生産は、人間不在の創造に挑むものといえるため、人工知能が人間を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」をめぐる議論も参照しつつ、人工知能による創作を、モダニズム以来の文学の動向の発展として位置づけ検討した。
③映画におけるセルフリメイク①:その理論的問題:映画におけるセルフリメイクは、他者によるリメイク以上に、創造性を欠いた「焼き直し」としてこれまで批判されてきた経緯がある。オリジナルをみずから反復・引用することで生まれる自己省察性と記号化には、再制作を創造行為として捉えようとする際の理論的問題が先鋭に現れているため、セルフリメイクと再制作を結びつけることで、創造性を新たな枠組みで捉える理論を構築するための考察を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナ・ウィルス蔓延防止措置のため、海外渡航が思うように行われなかったが、オンライン等を用いて、なんとか所定の研究を続行した。海外での資料収集や国際学会への参加は難しかったが、その分、国内での飼料を駆使し、またオンラインでの検討を増やすことで、おおむね順調な研究の進捗を見ている。

今後の研究の推進方策

海外渡航ができず、また海外からの研究者招聘が困難であるため、申請していた旅費等の消化が難しいことが分かった。今年度に予定されていた旅費は、オンラインでの研究用の機材や資料に充てたが、次年度もやはり海外出張等の可能性が見えにくいため、できるだけ国内やオンラインで可能な研究形態に変更していこうと思っている。

  • 研究成果

    (29件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (11件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) 図書 (11件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] 「戦争の記録とメロドラマ的快楽――戦時中の国策映画と新国劇における香港攻略」2021

    • 著者名/発表者名
      韓燕麗
    • 雑誌名

      『インテリジェンス』

      巻: 2121 ページ: 35-44

  • [雑誌論文] グローバリズムの外部より、地球の外部を想像するほうがたやすい:「e-flux」とロシア宇宙主義2021

    • 著者名/発表者名
      乗松亨平
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 49(1) ページ: 165-175

  • [雑誌論文] ディスク遊歩人 : 音盤街そぞろ歩き(141) 「ヴィルヘルム・プラーゲ」ができるまで(その1)2020

    • 著者名/発表者名
      長木誠司
    • 雑誌名

      レコード芸術

      巻: 69(9) ページ: 59-62

  • [雑誌論文] ディスク遊歩人 : 音盤街そぞろ歩き(142) 「ヴィルヘルム・プラーゲ」ができるまで(その2)2020

    • 著者名/発表者名
      長木誠司
    • 雑誌名

      レコード芸術

      巻: 69(10) ページ: 91-94

  • [雑誌論文] ウンブラル──歴史の閾としての謎2020

    • 著者名/発表者名
      田中純
    • 雑誌名

      UP

      巻: 572 ページ: 36-43

  • [雑誌論文] イコノクラスムの彼方へ──像なき時代を創像する2020

    • 著者名/発表者名
      田中純
    • 雑誌名

      UP

      巻: 575 ページ: 47-5347-53

  • [雑誌論文] 心理歴史的地図からイメージ記憶の散歩へ──『ムネモシュネ・アトラス』のアクチュアリティ2020

    • 著者名/発表者名
      田中純
    • 雑誌名

      UIP

      巻: 578 ページ: 43-49

  • [雑誌論文] 無の色気──ボウイ論の余白に2020

    • 著者名/発表者名
      田中純
    • 雑誌名

      UP

      巻: 581581 ページ: 51-56

  • [雑誌論文] 「アジア映画の味方/見方」2020

    • 著者名/発表者名
      韓燕麗
    • 雑誌名

      東京大学アジア研究図書館ニューズレター

      巻: 1 ページ: 12-14

  • [雑誌論文] “Imported” Feminism and “Indigenous” Queerness: From Backlash to Transphobic Feminism in Transnational Japanese Context2020

    • 著者名/発表者名
      清水晶子
    • 雑誌名

      Journal of Gender Studies

      巻: 2323 ページ: 89-104

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 居どころのないわたしたちの、此処ではない此処2020

    • 著者名/発表者名
      清水晶子
    • 雑誌名

      『群像』

      巻: 75:10 ページ: 249-256

  • [学会発表] デッサウ弦楽四重奏団と日本の作曲家2020

    • 著者名/発表者名
      長木誠司
    • 学会等名
      日本音楽学会第71回全国大会(武蔵野音楽大学)
  • [学会発表] 「貫戦期における日中映画の越境と協働をめぐる総合的研究」2020

    • 著者名/発表者名
      韓燕麗
    • 学会等名
      早稲田大学20世紀メディア研究会
  • [学会発表] 三、四十年代日人在港的観影攝影活動2020

    • 著者名/発表者名
      韓燕麗
    • 学会等名
      香港電影資料館開館20周年記念シンポジウム
  • [学会発表] 20 世紀中国史の資料的復元2020

    • 著者名/発表者名
      韓燕麗
    • 学会等名
      京都大学人文科学研究所
  • [学会発表] 「偶然と事物の美学:クラカウアー『映画の理論』をめぐって」2020

    • 著者名/発表者名
      竹峰義和
    • 学会等名
      北海道大学 映像・現代文化論学会大会
  • [学会発表] 「パリに終わりはないのか En quete d'une ville(都市を求めて/都市の調査)」2020

    • 著者名/発表者名
      桑田光平
    • 学会等名
      オンライン・シンポジウム『テクストを建てる、イメージを歩く』
  • [図書] デヴィッド・ボウイ 無を歌った男2021

    • 著者名/発表者名
      田中 純
    • 総ページ数
      646
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      9784000240611
  • [図書] クリティカル・ワード メディア論2021

    • 著者名/発表者名
      門林岳史、増田 展大
    • 総ページ数
      295
    • 出版者
      フィルムアート社
    • ISBN
      978-4-8459-2006-8
  • [図書] 宇佐美圭司 よみがえる画家2021

    • 著者名/発表者名
      加治屋 健司 (編集)
    • 総ページ数
      176
    • 出版者
      東京大学出版会
  • [図書] 『都市科学事典』(うち項目「都市記号論--リンチからバルトへ」)2021

    • 著者名/発表者名
      横浜国立大学都市科学部(編)
    • 総ページ数
      1052
    • 出版者
      『都市科学事典』(うち項目「都市記号論--リンチからバルトへ」)
  • [図書] オペラがわかる101の質問2020

    • 著者名/発表者名
      ザビーネ・ヘンツェ?デーリング、ジークハルト・デーリング、長木 誠司
    • 総ページ数
      352
    • 出版者
      アルテスパブリッシング
    • ISBN
      4865592253
  • [図書] Bilder Als Denkformen: Bildwissenschaftliche Dialoge Zwischen Japan Und Deutschland2020

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Sakamoto, Felix Jaeger, Jun Tanaka (eds.)
    • 総ページ数
      160
    • 出版者
      De Gruyter
  • [図書] トライアローグ 語らう20世紀アート2020

    • 著者名/発表者名
      横浜美術館 (監修), 愛知県美術館 (監修), 富山県美術館 (監修), 加治屋健司 (その他),
    • 総ページ数
      328
    • 出版者
      左右社
  • [図書] ちくま新書2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤邦武、山内志朗、中島隆博、納富信留編
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      世界哲学史8 現代 グローバル時代の知
  • [図書] 『ありえないことが現実になるとき』2020

    • 著者名/発表者名
      ジャン=ピエール・デュピュイ(桑田光平ほか訳)
    • 総ページ数
      318
    • 出版者
      筑摩書房
  • [図書] 『芸術の脱定義』2020

    • 著者名/発表者名
      ハロルド・ローゼンバーグ(桑田光平ほか訳)
    • 総ページ数
      305
    • 出版者
      水声社
  • [図書] 東京大学教養学部編『知のフィールドガイド 異なる声に耳を澄ませる』(「かわいらしければよいのか 十八世紀フランスから」を分担執筆)2020

    • 著者名/発表者名
      森元庸介
    • 総ページ数
      202
    • 出版者
      白水社
  • [学会・シンポジウム開催] 国際シンポジウム「フェミニスト/クィア・ユートピア&ディストピア:非規範的な欲望と身体を通して想像されるオルタナティブ・ワールド」2021

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公開日: 2021-12-27  

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