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2021 年度 実績報告書

アジアにおける社会包摂型アーツマネジメントモデル形成と応用

研究課題

研究課題/領域番号 19H01224
研究機関大阪市立大学

研究代表者

中川 眞  大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任教授 (40135637)

研究分担者 コルナトウスキ ヒェラルド  九州大学, 比較社会文化研究院, 講師 (00614835)
沼田 里衣  大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (10585350)
藤野 一夫  芸術文化観光専門職大学, 芸術文化・観光学部, 教授 (20219033)
垣田 裕介  大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (20381030)
岩澤 孝子  北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40583282)
平田 オリザ  芸術文化観光専門職大学, 芸術文化・観光学部, 教授 (90327304)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード社会包摂型アーツマネジメント / ジェントリフィケーション / Socially Engaged Arts / 社会空間 / 検閲 / 弱さの力
研究実績の概要

本年度もまた新型コロナウィルスの世界的蔓延によって大きな影響を受けた。しかし、対面とオンラインを組み合わせながら、当初に予定していた研究・調査は、海外からの研究者招聘を除いては滞りなく実施できた。さらに国内においては計画以上の調査も実施できた。バンコクでの「都市文化研究フォーラム」はオンラインであったが、ともにCOVID-19とどのように共存しながら文化実践を進めてゆくことができるのかという問題意識のもと、各国から参集した研究者によって熱心な議論が行われた。また、アジア・アーツマネジメント会議は5月に、Living Arts International (ニュー ヨーク)、Mekong Cultural Hub(台北)と連携しながらオンラインで実施した。科研のメンバーがオンラインで東南アジア5ヶ国のアートプロジェクトについてインタビューを行い、それをもとにワークショップを実施した。この会議では、COVID-19によって隠されがちな地域の社会的課題、例えば強権的な政治、検閲などに対峙する文化実践の方法や可能性に関して議論を行った。そしてこの会議で形成されたネットワークを活用しながら、マイノリティをテーマとするアジアの詩集を、他の助成金と組み合わせて刊行することができた。社会包摂型アーツマネジメント研究に「比較」の視座を大きく導入し、国内の地域アートプロジェクトや祭礼、民俗芸能のフィールド ワークを実施し、日本のアーツマネジメントをアジアの中に再布置することの試みとして、大阪市西成区、京都市南区、下京区などにおけるアート実践の調査、研究を行い、論文を上梓した。加えて、北アルプス国際芸術祭、奥能登国際芸術祭、紀南アートウィーク、奥大和マインドトレイルなどの地域アートフェスティバルの調査も実施し、SEAの可能性について考察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の申請書で記した、バンコクでの「都市文化研究フォーラム」、アジア・アーツマネジメント会議は予定通りに実施できたが、ジョグジャカルタでの「都市研究フォーラム」はできなかった。これは2021年3月28日つまり2020年度に実施したため、2022年になってから実施する予定であったが、コロナ第6波のため、中止せざるを得なくなった。またマイノリティをテーマとするアジアの詩集は予定通り刊行したが、コロナの影響によって詩集の編集者であるカンボジアと台湾から2名の実践的研究者を招聘する予定であったが実施できなかった。海外にてインテンシブな調査が不可能であったため、「比較」の視座を大きく導入して国内の地域アートプロジェクトや祭礼、民俗芸能のフィールドワークを実施する方向へと軌道修正を行ったが、これは予定通り実施することができた。以上、申請書に記した計画は達成できたが、本科研が当初予定していた海外でのフィールドワークを十分に実施できていないという点も踏まえて、「おおむね順調に進展している」状況であると判断した。

今後の研究の推進方策

COVID-19の影響は依然として続くことを前提に、これまでの研究の安定的な継続、すなわちバンコクとジョグジャカルタでのフォーラムの開催と、そこでの成果発表、またMekong Cultural Hub並びにInternational Living Artsとの協働によるアジア・アーツマネジメント会議の開催を軸に、アジアにおける社会包摂型アーツマネジメントの手法と思想についての総合的な成果取りまとめを、本科研の最終年度として実施する。また、当初は計画していなかったが、COVID-19の拡大に伴う調査・研究方法の変更から生じた、日本国内における研究成果に基づく、日本とアジア諸国とのアーツマネジメントの比較に関しても、一定の結果が出せるように努める。

  • 研究成果

    (31件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 図書 (11件) 学会・シンポジウム開催 (2件)

  • [国際共同研究] チュラロンコン大学(タイ)

    • 国名
      タイ
    • 外国機関名
      チュラロンコン大学
  • [国際共同研究] ガジャマダ大学/インドネシア芸術大学(インドネシア)

    • 国名
      インドネシア
    • 外国機関名
      ガジャマダ大学/インドネシア芸術大学
  • [国際共同研究] 国立台湾芸術大学/Mekong Cultural Hub(その他の国・地域)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      国立台湾芸術大学/Mekong Cultural Hub
  • [雑誌論文] 音とことばによる対話に関する臨床音楽学研究:「おとあそび工房」における試みから2022

    • 著者名/発表者名
      沼田里衣(ほんまなほと共著)
    • 雑誌名

      アートミーツケア

      巻: 13 ページ: 1-16

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 新型コロナ禍のもとで居住支援のあり方とニーズについて考える2022

    • 著者名/発表者名
      垣田裕介
    • 雑誌名

      季刊個人金融

      巻: 16(4) ページ: 72-81

  • [雑誌論文] 新型コロナ禍での「世間」の同調圧力と芸術文化の課題ーー人の喜ぶのを見て素直に喜ぶことのできる社会のために2022

    • 著者名/発表者名
      藤野一夫
    • 雑誌名

      社会文化研究

      巻: 24 ページ: 23-43

  • [雑誌論文] コミュニティダンスと社会的距離ーCOVID-19禍におけるアーティストたちの挑戦ー2021

    • 著者名/発表者名
      岩澤 孝子
    • 雑誌名

      北海道教育大学紀要(人文科学・社会科学編)

      巻: 72-1 ページ: 79-94

  • [雑誌論文] オンライン型教育コンテンツの開発ーポピュラー音楽と伝統文化を融合した現代中国音楽文化の活用ー2021

    • 著者名/発表者名
      岩澤 孝子
    • 雑誌名

      北海道教育大学紀要(教育科学編)

      巻: 72-2 ページ: 325-339

  • [雑誌論文] 就労支援のプロセスと効果を可視化する : 就労支援のあり方を考えるために2021

    • 著者名/発表者名
      垣田裕介
    • 雑誌名

      都市問題

      巻: 112(10) ページ: 78-89,

  • [学会発表] コミュニティ音楽における音楽の参加方法に関する実践研究2022

    • 著者名/発表者名
      沼田里衣
    • 学会等名
      日本音楽即興学会
  • [学会発表] Introductory remarks2022

    • 著者名/発表者名
      ヒェラルド・コルナトウスキ(G. & Tang, W.Sと共同発表)
    • 学会等名
      International workshop on radicalism in theory and practice(九州大学)
    • 国際学会
  • [学会発表] 東南アジアおよび日本におけるアーツマネジメントによる国際ネットワークの形成2021

    • 著者名/発表者名
      中川眞
    • 学会等名
      東南アジア学会
  • [学会発表] ラオスにおける映像制作プログラムー@My Libraryによる学びと創造のプロセスー2021

    • 著者名/発表者名
      岩澤孝子
    • 学会等名
      東南アジア学会
  • [学会発表] 新型コロナウイルス感染拡大と日本の社会政策――生活困窮者の実態と論点2021

    • 著者名/発表者名
      垣田裕介
    • 学会等名
      韓国社会保障学会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 新型コロナウイルス感染拡大で可視化された日本のインフォーマル就業の実態2021

    • 著者名/発表者名
      垣田裕介
    • 学会等名
      社会保障国際論壇
  • [学会発表] Survival and intervention in home-making under extreme inequality: the ‘street sleepers’ of Hong Kong2021

    • 著者名/発表者名
      ヒェラルド・コルナトウスキ(G. & Ching, Cと共同発表)
    • 学会等名
      RC21, University of Antwerp
    • 国際学会
  • [学会発表] 在留外国人のための文化政策と都市 - 日本およびアジア諸国の事例比較から2021

    • 著者名/発表者名
      ヒェラルド・コルナトウスキ(Rimi Khan・閔鎭京・朝倉由希・南田明美と共同発表)
    • 学会等名
      九州大学アジアウィーク2021
  • [学会発表] 地域との関わり・つながり2021

    • 著者名/発表者名
      ヒェラルド・コルナトウスキ(矢野淳士と共同発表)
    • 学会等名
      トヨタ財団連続オンラインセミナー
    • 招待講演
  • [図書] 阪神虎舞の誕生2022

    • 著者名/発表者名
      中川眞(日髙真吾、橋本裕之と共編)
    • 総ページ数
      128
    • 出版者
      大阪市立大学都市研究プラザ
    • ISBN
      978-4-904010-44-0
  • [図書] Voices from A2022

    • 著者名/発表者名
      中川眞(監修)
    • 総ページ数
      67
    • 出版者
      一般社団法人スペース天
  • [図書] 十津川村の盆踊り 解説集2022

    • 著者名/発表者名
      中川眞(監修)
    • 総ページ数
      38
    • 出版者
      奈良地域伝統文化保存協議会
  • [図書] みんなの文化政策講義 文化的コモンズをつくるために2022

    • 著者名/発表者名
      藤野一夫
    • 総ページ数
      294
    • 出版者
      水曜社
    • ISBN
      978-4880655192
  • [図書] 外国人・寮付き派遣労働者の地域生活を支える社会的インフラ――コミュニティハブ概念の構築2022

    • 著者名/発表者名
      ヒェラルド・コルナトウスキ(陸麗君と共編)
    • 総ページ数
      148
    • 出版者
      大阪市立大学都市研究プラザ
  • [図書] 「地域市民演劇」の現在2022

    • 著者名/発表者名
      中川眞(共著)
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      森話社
    • ISBN
      978-4864051651
  • [図書] 別役実の風景2022

    • 著者名/発表者名
      平田オリザ(共著)
    • 総ページ数
      352
    • 出版者
      論創社
    • ISBN
      978-4846021009
  • [図書] 市民がつくる社会文化 ドイツの理念・運動・政策2021

    • 著者名/発表者名
      藤野一夫(大関雅弘、吉田正岳と共編)
    • 総ページ数
      239
    • 出版者
      水曜社
    • ISBN
      4880655074
  • [図書] 撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて2021

    • 著者名/発表者名
      平田オリザ(共著)
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      晶文社
    • ISBN
      978-4794973078
  • [図書] ニッポンの芸術のゆくえ なぜ、アートは分断を生むのか?2021

    • 著者名/発表者名
      平田オリザ(共著)
    • 総ページ数
      208
    • 出版者
      青幻社
    • ISBN
      4861528348
  • [図書] 「自由」の危機 息苦しさの正体2021

    • 著者名/発表者名
      平田オリザ(共著)
    • 総ページ数
      400
    • 出版者
      集英社
    • ISBN
      978-4087211702
  • [学会・シンポジウム開催] 第19回都市文化研究フォーラム2021

  • [学会・シンポジウム開催] アジア・アーツマネジメント会議2021

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公開日: 2022-12-28  

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