研究課題
本研究課題は、推論過程を明示する表現形式の使用実態とダイナミズムについて、九州方言を中心に調査・分析することを目的としている。その研究の性質上、九州各地に出向いて、自然談話を録音・録画したり、インタビュー調査をしたりすることが中心となる、2021年度は、依然として、コロナ禍にあり、現地に出向いての調査を行うことが難しかったため、手持ちの音声・動画データや日本語諸方言コーパスを利用して、分析を行なったり、現地に出向かず、リモートでの調査を行なったり、現地に出向いた上で、リモートで行なったり、さらに、書簡などで調査を行なったりなど、調査方法を工夫して、研究を継続した。並行して、方言資料の調査、歴史文献の調査も進めた。また、九州で調査する代わりに、調査対象項目について、現地調査可能な近隣地域で試験的に行った。その主な調査内容は以下の通りである(なお詳細は研究業績にあげる)。1)藪路木島方言における疑問文のイントネーション、2)甑島里方言の疑問文に現れる条件形式、3)九州方言の研究の方向性、4)音韻現象の確率的な分布についての実験的研究、5)長崎県佐世保市宇久町平方言の『進行』の『オル』、6)九州各地の方言のモダリティ表現・条件表現の整理、7)鳥取市河原町方言の間接疑問文に現れる特殊な音調、8)佐賀方言における2種類の条件付き命令文。9)九州西南部方言の辞書および談話集の作成。これらの調査内容について、メンバー間でリモートによる研究会を行い情報共有と検討を行なった。また、全国学会や研究会で調査・分析内容の中間報告を行った。更に、文法書、辞書、談話集の作成・管理を言語注釈アプリELANで一括する仕組みを構築した。その解説も用意しており、分節音レベルの変異・交替が頻発する九州西南部方言をELANに最適化させるための記述方法などを示している。
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍で現地に出向いての調査ができなかったという点では問題があったが、現地での対面調査以外の調査方法を開発し、メンバー間で共有しながら進めていった結果、一定の研究成果をあげることができた。
依然として、老年層を対象とする対面での調査については、注意して進める必要はあるが、感染対策を十分に行なった上で、対面調査に近い方法で調査を再開する。日本語諸方言コーパスや、すでに収集済みのデータを詳細に検討する。
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日本語・日本文化
巻: 49 ページ: 71-104
10.18910/87451
語文
巻: 116, 117 ページ: 44-57
語文研究
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10.15017/4777920