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2021 年度 実績報告書

日本語読解・ライティングの方法に影響する母語・母文化の教育的背景要因に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19H01269
研究機関大阪大学

研究代表者

村岡 貴子  大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (30243744)

研究分担者 阿部 新  東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 准教授 (00526270)
中島 祥子  鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (80223147)
池田 隆介  北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (60347672)
山路 奈保子  室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (40588703)
太田 達也  南山大学, 外国語学部, 教授 (50317286)
太田 亨  金沢大学, 国際機構, 教授 (40303317)
脇田 里子  同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (20251978)
石黒 圭  大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, 教授 (40313449)
鎌田 美千子  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40372346)
大島 弥生  立命館大学, 経営学部, 教授 (90293092)
堀 一成  大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (80270346)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードアカデミック・ライティング / 読解 / 論文スキーマ / ビリーフ / 母語・母文化 / 学習環境 / 教育文化 / 学習変容プロセス
研究実績の概要

本年度も全体会議を2回行い、班を超えての連携を進めてきた。
まず、ビリーフ調査班では、中国に続き、韓国、タイ、ベトナムでの量的調査を完了した。中国では9大学で教師・学習者をあわせて700程度、また、韓国(7大学8学部)・タイ(5大学)・ベトナム(5大学)についても、各々250-400程度データが収集された。教師へのインタビュー調査では、中国の重点大学の教員14名に協力を得て、調査が完了した。
次に、読解・ライティング連携班では調査対象を主としてドイツと中国としている。まず、ドイツの中等教育機関のアビトゥア試験(卒業試験兼一般大学入学資格試験)のドイツ語科目の問題分析を通じて、日本語のアカデミック・ライティングへの示唆を得た。また、中国の大学共通試験に当たる「高考」を分析し、かつ、中国の大学教員へのインタビュー調査等を通して大学のカリキュラムを調査することで、中国国内の作文教育の状況、ならびに作文教育と読解教育の関わりを探った。
また、学習教育環境班では、ライティングの学習教育環境を把握するための調査の一環として、日本国内の大学学部における「文章表現法」等のレポート執筆能力の養成を目的とする科目のシラバスの分析を行った。その結果、シラバスの「概要・目標」において「論理的思考力」に関わる記述をしている科目が多くあったが、「授業内容」欄における「論理的思考力」に関わる記述の割合は少なかった。日本の大学では、学部生のライティング技能向上と論理的思考力育成とは不可分であるとの共通認識のあることがわかった。
さらに、学習変容プロセス班では、学士課程4年間のライティングを通じた学びについてインタビューを行った。中国人理系留学生、日本人学生(理系国立、文理融合系国立・私立大学)各カテゴリー3~4名ずつの協力を得て実施し成果を公開した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

4班に分かれて実施している本共同研究は、それぞれに一定の成果をあげている。
ビリーフ調査班では、アジア圏および南米・欧州での調査の一部で、先方の協力大学の都合、および、コロナによる影響で、協力が予定より多くは得られないか、あるいは、遅れが生じた地域も一部あったものの、一方で、時間をかけた結果、特に東アジアと東南アジアでは、大量のデータが得られた。
次に、読解・ライティング連携班では、ドイツと中国の情報収集とデータ分析が具体的に進み、成果発表がなされている。
また、学習教育環境班では、ライティングに関わるシラバスの分析が進み、同様に成果公開が行われている。
学習変容プロセス班においても、学習者のライティングに対する学びの過程が質的に分析され、成果が発表されている。
最後に、次年度に向けて、4班でのこれまでの取り組みを横断的に、かつ俯瞰的に捉えた知見を全国学会等で公開するべく、本年度内に準備の打ち合わせを終了し、応募に向けて概要の内容の検討を開始している。

今後の研究の推進方策

まず、今年度の前半の早い段階において全体会議を開催し、各班の1年間の計画を、成果発表に向けた準備も含めて、実現可能な内容に確定するよう検討と調整を進める。海外での調査については、昨年度までにデータ収集が完了していない地域・データの数によっては、分析が可能な範囲を早めに見定めることとする。
次に、テーマ別の各班の班長を中心に、Slack等のSNSも活用しつつ、他班との連携をさらに進める。オンラインおよび対面での会議を機能的に開催することとする。代表者は、各班における調査の進捗状況の報告を受けつつ、全体のコーディネーションを行い、 全体会議で議論を促す予定である。
さらに、各班の調査で得た知見を活用し、班横断的にこれまでの成果を俯瞰する視点で総括に向けて議論を収れんさせられるように検討を続ける。そのような共同研究の総括の視点を早い段階からメンバー全員で共有することで、班内の各調査研究の進捗にも好影響を与えられるようにする。代表者と班長は、学会での領域横断的な成果発表に向けた準備を具体化させる。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (5件) (うちオープンアクセス 3件、 査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 中国の大学における日本語専攻の学生と教員が抱くライティング学習と教育に関するビリーフ -学生と教員の違いを中心に-2022

    • 著者名/発表者名
      阿部新・中島祥子・村岡貴子
    • 雑誌名

      大阪大学国際教育交流センター研究論集 多文化社会と留学生交流

      巻: 26 ページ: 73,84

    • DOI

      10.18910/86450

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 職業的アイデンティティの発達を支援するドイツ語教員養成・研修2022

    • 著者名/発表者名
      太田達也
    • 雑誌名

      慶應義塾大学日吉紀要 ドイツ語学・文学

      巻: 62 ページ: 49,65

  • [雑誌論文] ドイツのアビトゥア試験英語科目における「言語仲介」問題分析 ―日本語教育での「言語仲介」導入のために―2021

    • 著者名/発表者名
      脇田里子
    • 雑誌名

      アカデミック・ジャパニーズ・ジャーナル

      巻: 13 ページ: 45,63

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 理系中国人留学生による学士課程でのライティングを通じた学びのふりかえり2021

    • 著者名/発表者名
      大島弥生
    • 雑誌名

      専門日本語教育研究

      巻: 23 ページ: 3,10

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 市民性形成を視野に入れたドイツ語教育2021

    • 著者名/発表者名
      太田達也
    • 雑誌名

      日本独文学会東海支部『ドイツ文学研究』

      巻: 53 ページ: 55,59

  • [学会発表] 大学での学習・研究活動に必要なアカデミック・ライティング教育の可能性と課題2022

    • 著者名/発表者名
      村岡貴子
    • 学会等名
      G-Navi シンポジウム/第41回神戸大学国際教育総合センターコロキアム
    • 招待講演
  • [学会発表] はじめて論文に取り組む留学生や大学生に向けた論文読解・作成入門の試み2022

    • 著者名/発表者名
      大島弥生
    • 学会等名
      G-Navi シンポジウム/第41回神戸大学国際教育総合センターコロキアム
    • 招待講演
  • [学会発表] 「日本語で学ぶ論理」が目指す「論理」の教育実践2022

    • 著者名/発表者名
      太田亨
    • 学会等名
      金沢大学における日本語教育の研究・教育・実践(金沢大学)
  • [学会発表] ドイツのアビトゥア試験ドイツ語科目の問題分析 -日本語のアカデミック・ライティングへの示唆-2022

    • 著者名/発表者名
      脇田里子・鎌田美千子
    • 学会等名
      第55回アカデミック・ジャパニーズ・グループ研究会、オンライン開催
  • [学会発表] 日本語アカデミック・ライティング教育の目指すべき方向性 -実践および教員への調査から-2021

    • 著者名/発表者名
      村岡貴子
    • 学会等名
      李在鎬教授 科研勉強会
    • 招待講演
  • [学会発表] 中国の大学における日本語専攻の学生と教員が抱くライティング学習と教育に関するビリーフ -学生と教員の違いを中心に-2021

    • 著者名/発表者名
      阿部新・中島祥子・村岡貴子
    • 学会等名
      日本語教育学会秋季大会
  • [学会発表] 日本の大学におけるライティング関連科目シラバスの特徴―大学は「ライティング」に何を期待しているか―2021

    • 著者名/発表者名
      池田隆介
    • 学会等名
      日本語プロフィシエンシー研究学会10周年記念シンポジウム, JALP
  • [図書] 「大学での学習・研究活動に必要なアカデミック・ライティング教育の可能性と課題」『G-Naviシンポジウム/第41回神戸大学国際教育総合センターコロキアム『留学生に対するアカデミックライティング教育・支援の現状と課題』実施報告書・資料集』2022

    • 著者名/発表者名
      村岡貴子
    • 総ページ数
      57(1-21)
    • 出版者
      神戸大学国際教育総合センター
  • [図書] 「初めて論文に取り組む留学生や大学生に向けた論文読解・作成入門の試み」『G-Naviシンポジウム/第41回神戸大学国際教育総合センターコロキアム『留学生に対するアカデミックライティング教育・支援の現状と課題』実施報告書・資料集』2022

    • 著者名/発表者名
      大島弥生
    • 総ページ数
      57(22-31)
    • 出版者
      神戸大学国際教育総合センター
  • [図書] “Introduction”. In: Goethe-Institut Tokyo (ed.): What are the benefits of learning multiple languages?2021

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Ohta, Kazumi Sakai, Manuela Sato-Prinz, Tomoko Maruyama
    • 総ページ数
      175(9,13)
    • 出版者
      International Symposium on Foreign Language Teaching and Learning Research.
  • [図書] ワークショップのまとめと全体会(2日目)「多言語教育の意義とは?」2021

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Ohta
    • 総ページ数
      175(149,159)
    • 出版者
      外国語教育・学習研究に関する国際シンポジウム

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公開日: 2022-12-28  

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