本研究課題は早期英語学習の認知脳科学的研究の基盤を作ることを目指して研究基盤の構築と子供からのデータ取得を行ってきた。当該年度が最終年度(5年目)であり、前年度までにやり残してきたデータ取得とともに、取得済のデータを分析して研究成果の公表と社会還元を行った。研究代表者は当該年度4月に新しい大学に着任したので元の大学からの転出に伴い一時的に研究活動が制限されたが、研究基盤の構築はリセットされたわけではなく、むしろ以前より強固な基盤を作ることができた。被験者の親子がアクセスしやすい都心の駅近に実験室を構えられたことで今後の研究の展開により大きな期待が持てる。本課題で蓄積した研究データについては、日本で最大の言語学系の学会にて実施した特別公開シンポジウムを通して、広く社会に公開した。このシンポジウム全体が動画共有プラットフォームを通して現在でも視聴できる状態になっており、効率的に社会還元できた。同様の内容は海外の研究シンポジウムや国内の研究会における基調講演としても発表した。今回発表したのは、主に英語スピーキング、国語力、脳機能に関するデータである。本研究課題は、幼少期から長時間の英語学習に取り組んだ子どもの日本語母語話者の英語力、日本語力、一般認知能力について調べることを目標にしてきたが、この中で英語力と日本語力については学術的に貴重なデータが得られたと考えている。一般認知能力については、取り組みが不十分であったため、今後取り組んでいきたい。また、当初の研究計画では、イマージョン学校に通っている児童も被験者として研究対象にしていたが、途中からインターナショナルスクールの児童に対象を変更した。インターナショナルスクールについては、今回の研究課題で本格的にデータ取得に取り組めたのが最終年度の後半であったため分析の多くが残っているが、貴重なデータが取得できたのは成果である。
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