研究課題/領域番号 |
19H01301
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
三上 喜孝 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (10331290)
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研究分担者 |
堀 裕 東北大学, 文学研究科, 教授 (50310769)
植田 喜兵成智 学習院大学, 付置研究所, 助教 (50804407)
稲田 奈津子 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (60376639)
赤羽目 匡由 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (60598853)
畑中 彩子 東海大学, 文学部, 准教授 (80453497)
橋本 繁 日本女子大学, 文学部, 研究員 (90367144)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 東アジア / 金石文 / 羅末麗初 / 日韓比較 / 仏教 |
研究実績の概要 |
2019年度は、以下の通り研究会を行った。 第1回研究会を、2019年5月25日(土)に学習院大学東洋文化研究所において実施し、橋本繁による「最近出土の韓国木簡について」の研究発表と意見交換を行った。第2回研究会を、2019年7月6日(土)に国立歴史民俗博物館において実施し、植田喜兵成智による「韓国金石文にみえる則天文字について」の研究発表と意見交換を行った。第3回研究会を、2019年11月9日(土)に学習院大学東洋文化研究所において実施し、石野智大による「唐代石刻題記研究の概況と実践」の研究発表と意見交換を行った。 研究代表者が所属する国立歴史民俗博物館と韓国の国立慶北大学人文学術院は、古代東アジアの文字文化についての共同研究を推進するべく、学術交流協定を締結した。これにより、韓国における資料調査や研究会の開催をスムーズに実施できる前提をととのえることができた。 つぎに、研究業績の概要について述べる。今年度は、研究課題についての認識の共有と、基礎資料の収集につとめた。とくに韓国の古代から羅末麗初に至る金石文についてのデータベース作成の方針を固め、これまで公開されている金石文についての基礎情報を修正する作業を行った。第1回、第2回の研究会においては、おもに韓国出土の出土文字資料や金石文の資料調査に基づいた個別具体的な研究成果が報告され、活発な意見交換をおこなうことができた。また第3回の研究会では、日韓の金石文研究の前提となる中国の金石文研究に関して、石野智大氏(明治大学兼任講師・中国史)をゲストスピーカーに招き、最新の動向と研究の実践について報告いただき、活発な意見交換がおこなわれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究会においては、韓国出土の文字資料の最新情報の提供と、それについての検討、韓国の金石文に見られる則天文字(唐の則天武后により作成された独特の文字。ごくわずかの期間しか用いられなかった)の用例の発見と日本の事例との比較を通じて、8世紀以降の中国の文字文化が朝鮮半島や日本列島にどのような形で伝わっていったのかについての実態的研究が進んだ。さらに、中国金石文研究動向と、その研究実践についての理解を深め、日本と朝鮮半島のみならず、同時代の中国との比較研究が十分に可能であり、そうした観点から研究を進めていく必要性をあらためて実感した。 資料調査は、国内を中心におこなったが、3月末に予定していた韓国での資料調査ならびに研究会については、新型コロナウィルス感染拡大の影響から、やむなく延期せざるを得なくなり、今年度は韓国での資料調査ならびに研究会を開催することができなかった。 一方で、韓国の金石文データベースの作成を継続的に進めている。こうした金石文のデータの整理結果をふまえて、実見調査の対象となる資料をしぼり、新型コロナウィルスの感染が収束した段階で効果的に現地の資料調査が行えるように準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響から、2019年度は韓国での資料調査ならびに研究会ができなかったが、今後は、新型コロナウィルス感染症が収束するまでの間は、デジタル画像を活用した金石文資料や出土木簡資料の解読をオンライン上で行うことや、オンラインによる研究会や国際研究集会を行うことで、実地調査の代替措置を模索する。 状況が許せば、韓国の国立慶北大学・国立慶州博物館、国立慶州文化財研究所等と連携し、慶州を中心にした慶尚北道地域の金石文や出土木簡等の調査を行いたい。
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