研究課題/領域番号 |
19H01395
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
野口 直人 東海大学, 工学部, 助教 (70803394)
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研究分担者 |
高山 陽子 亜細亜大学, 国際関係学部, 教授 (20447147)
妙木 忍 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (30718143)
山口 未花子 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (60507151)
田村 光平 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (60725274)
安田 容子 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (60726470)
山口 睦 山口大学, 人文学部, 准教授 (70547702)
大塚 直樹 亜細亜大学, 国際関係学部, 准教授 (80549486)
今石 みぎわ 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 無形文化遺産部, 主任研究員 (80609818)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 模型 / 伝統的習俗 / 身体 / 複製技術 |
研究実績の概要 |
研究代表者の野口は、日本国内の建築模型の調査と、自身がデザイン・制作した建築模型を美術館の企画展において実際に展示した。山口睦(以下研究分担者)は、福岡県のアナログな航空模型制作を行う団体、山口県の3Dプリンタを利用した芸術作品制作者への調査を進めた。田村は、「模する」こと等による文化の継承を、進化生物学の概念や手法を使って数理的に分析する研究に関する書籍を出版した。また、3Dプリンタを使った展示や研究についての調査を進めた。 安田は、近代南画家の個人所蔵資料の粉本・縮図の調査、既往研究の収集を行った。現代における模写の活用について、美術館における調査を実施した。今石は、日本の小正月のツクリモノに関する研究として、埼玉県・群馬県のツクリモノについて文献の収集・整理を行ない、習俗の概要を把握した。大塚は、台湾での複数の廟における参与観察的な調査から、紙銭という模する技術が実社会と冥界とを結びつけ、当該社会で暮らすより多くの人びとに多様な安息を与える媒体になっていることを明らかにした。 妙木は、妖怪の模型化や「かかし」という人間の模型化について徳島で調査を実施し、遠野では遠野物語に語られた伝承の模型化の調査を実施した。高山は、博物館におけるマネキン展示―中国の革命博物館の事例を中心に、これまで収取した事例から博物館におけるマネキンと銅像の展示の意図と効果について考察した。山口未花子は、アートにおける動物表現に関する研究として美術館や文献の資料についての調査を実施した。また自ら狩猟した鹿の解体、皮なめしを通じ、身体資源利用に関する経験的な調査を行った。 以上の各自の研究活動を踏まえ、第1回研究会(広島市現代美術館、2019年9月22-23日)で企画展の見学と野口による研究発表、第2回研究会(亜細亜大学、2019年11月2-3日)で食品サンプル製作と高山・妙木による研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は各研究者の専門分野の調査・分析を各自遂行するとともに、研究分野が多岐にわたるため、研究者間において研究課題に関する情報共有をはかり、議論を深めることが目的であった。 2度の全体研究会において、実際に美術館で行われた企画展(インポッシブル・アーキテクチャー展、広島市現代美術館他)での学芸員と建築模型制作者である野口(研究代表者)の解説による見学会や、食品サンプル製作の実体験及び、研究発表の実施を通じて分野を跨ぐ共通認識や課題共有、新たな知見の獲得をはかることができた。 また、各研究者の専門分野の調査・分析においては、年度末のcovid-19の影響でインタビューや実地調査、展示企画の中止により若干の予定変更を余儀なくされたものの、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り、今年度の成果を踏まえて研究者間の連携と共有をはかりつつ、各専門研究分野における「模する」ことの技術・伝統的習俗や意味性を調査・分析していきたいと考えている。 各研究者の昨年度の調査・分析を継続進展させるとともに、今年度も2回程度の全体研究会の開催企画を検討している。当初は第1回研究会(2020年4月25-26日、大塚国際美術館見学及び、安田・今石・大塚・ゲスト瀬川昌久による「模する技術の伝統的習俗の諸相」研究発表)を予定していたが、covid-19の影響により変更を余儀なくされており、状況を鑑みてZoom等による遠隔研究会を8月までに実施する予定である。また同様に、第2回研究会(2020年9月、横浜山下埠頭にて動く実物大ガンダム見学及び、山口睦による「遊びと模型」研究発表)も、現地見学会が困難になった場合の遠隔研究会を検討している。 同じく各研究者の専門分野における現地調査にも影響があると推測されるため、文献調査や執筆等、covid-19の影響が少ない研究活動への柔軟な変更を対応策とする。
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