研究課題/領域番号 |
19H01409
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
木下 麻奈子 同志社大学, 法学部, 教授 (00281171)
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研究分担者 |
松村 良之 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (80091502)
池田 清治 北海道大学, 法学研究科, 教授 (20212772)
長谷川 真里 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 教授 (10376973)
前田 智彦 名城大学, 法学部, 教授 (10292806)
森 大輔 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (40436499)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 法的社会化 / 社会調査 / 追試 / 契約意識 / 法心理学 |
研究実績の概要 |
2019年度は、本プロジェクトのメンバーである民法学、法社会学、法心理学、発達心理学の研究者の間で、プロジェクトのキーワードとなっている「法的社会化(Legal Socialization)」の概念について意見を交換し、知見を共有することに活動の重点を置いた. 活動の詳細を述べると、社会調査班では、先行研究である特定領域研究「現代日本人の法意識と価値構造」の調査の一部である2005年調査の個票データを再検討した.そして契約に係る態度変数と個人の属性要因がどのような関係にあるかを検討し、本調査に係る論点を抽出した.さらに民事法学班は、消費者契約に関する問題や先行研究について検討を加えた.また心理学班と社会調査班は、共同して社会化についての研究を詳細にレヴューして検討を加えるなど、情報収集、整理に努めた.その情報収集を行う過程で、消費者行動、消費者法、契約法、契約意識に係る仮説を作成し、それに基づき契約主体、契約対象の性質、責任の主体、契約金の支払い方法等といった重要だと思われる要因を操作して3つのシナリオ予備実験(Web利用)を行った. プロジェクト全体の活動としては、研究会を幾度か開催した。研究会の結果,契約法や消費者法の基本的な考え方について、プロジェクト・メンバーの理解を促進させ、先端の研究の情報や学際的な研究についての理解を共有することができた.とくに、日本人の契約についての法意識の先行研究、発達心理学における社会化の概念および法社会学における契約意識や所有権に関する法的社会化の概念の変遷と研究、法と経済学における消費者の行動に関する研究等の契約法や消費者法について重要な研究成果を,メンバー間で共有することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、本プロジェクトのキックオフの年度として、プロジェクトの課題についての情報収集と、プロジェクトのメンバー間での意見交換、情報共有に重点をおいた.その結果、各班は、それぞれのプロジェクトに関する課題を順調に達成している.また、情報収集を行う中で作成した仮説を検証するために、シナリオ予備実験(Web利用)を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、翌年度に実査する予定の本調査に向けて、各班が共同して作業を進める.とくに社会調査班は、本調査に新たに採用する設問を作成するために予備調査を行う予定である.予備調査ではWebを利用し、各世代の契約についての意識の相違を調べる計画である.さらに民事法学班は、前年度で得た知見をもとに、シナリオ実験(Web利用)に用いる契約事例を、社会調査班、心理学班と協力して作成する.また、心理学班は、民事法学班が作成したシナリオを用いて、条件の設定を変えた予備実験(Web利用)を行う.そして得られたデータを多変量解析を用いて整理し、要因間の構造を明らかにし、本実験の準備に当たる予定である. ただし、2020年度は新型コロナ感染症拡大予防に対応しなければならない状況にあり,諸般の事情に留意しながら研究を遂行していく予定である.すでに本年度、研究報告を行う予定であった国際学会(RCSL)が次年度に延期となっており、研究成果を発表する方法については、状況に合わせて検討する.今後は、オンライン会議システムを利用して研究会を行うなどの工夫を施しながら、研究活動を継続する予定である.
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