ビジュアル・イメージの政治的影響に関する実証研究

2023 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 19H01449
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分06010:政治学関連
• 研究機関: 拓殖大学
• 研究代表者: 浅野 正彦 拓殖大学, 政経学部, 教授 (40376629)
• 研究分担者: 横山 智哉 学習院大学, 法学部, 教授 (20806153) ; 福元 健太郎 学習院大学, 法学部, 教授 (50272414) ; 矢内 勇生 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 准教授 (50580693) ; 河村 和徳 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (60306868) ; 杉浦 元亮 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60396546) ; 尾野 嘉邦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70598664) ; 齋藤 五大 東北大学, 電気通信研究所, 特任助教 (70823772) ; 中村 航洋 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), その他(招聘研究員) (20817275)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: サーベイ実験 / 選挙公報 / 選挙ポスター / 候補者の笑顔度 / 候補者の美顔度 / 候補者の顔評価 / 候補者の美顔度と政策

研究成果の概要

オンラインによるサーベイ実験では、被験者は美顔の候補者に関する情報ほど良く記憶していることが明らかになった。また、有権者は美顔の候補者の主要な政策をよりよく覚えている傾向が見られた。この実験結果は2023年9月にロサンゼルスで開催されたアメリカ政治学会 (APSA) で発表した。脳画像解析班は被験者に対して、客観的な事実をフィードバックする顔と、ポジティブなフィードバックを返す顔では、報酬系は前者に強く反応するという結果が得られた。５年間で計44件の雑誌論文（うち査読付きが20件）が採択され、政治学や心理学そして医学の各分野において評価の高い海外のジャーナルで論文が掲載された。

自由記述の分野

政治学

研究成果の学術的意義や社会的意義

従来の投票行動研究では、政治家の掲げる公約や政策の内容が重要であるとされてきたが、実際の有権者の投票行動は、政治家の顔や表情などの政治とは関連が薄いビジュアル・イメージから影響を受けている可能性が考えられる。本研究では、まず観察研究を通じて、有権者が候補者の顔というビジュアル・イメージから有能さや誠実さといった能力を推定しているのかを明らかにし、その評価が候補者の得票率とどの程度関連しているのかを探る。政治家のビジュアル・イメージが有権者の評価に及ぼす影響メカニズムを解明することで、有権者の政治的判断に伴う合理性に関する新たな理論を提示することを目指す。